SYMPTOM 症状から探す
倦怠感 ~とれない疲れには原因があるかもしれません~
忙しい現代人、寝る時間もない、仕事は山積み・・当然疲れると思います。休日にしこたま寝て、休めば疲れは取れる・・また月曜が始まるのか・・という疲れはいわゆる「生理的疲労」です。一方でどんなに休んでも疲労感が取れない、という場合は病的な倦怠感の可能性があります。比較的ありふれた症状なので、倦怠感、だけで何の病気であるかを特定することはできません。ただし、ひどい疲労感が続く場合は他の症状がないか確認し、受診を検討しましょう。まずは内科で全身のチェックアップを受けましょう。
倦怠感
しばしば使われる言葉ですが、大いに主観的感覚のため、例えば定量的に疲労感を表したり、人の倦怠感の程度を医療者側が理解したりすることも難しいのが事実です。
ストレスが不可避な現代社会、倦怠感を訴える患者さんとお会いして、原因としてパッと1番に浮かぶのはやはり、うつ病の存在です。ただし、うつ病である、という前に身体は概ね元気であること、を担保するのが内科医の仕事だと思っていますので、血液検査や胸のレントゲンなど一通りの検査は受けておいてよいでしょう。
原因
精神的原因は最後に述べます。
*うつ病に関しては心療内科や精神科にかかるべき疾患であり、内科でとりあえずの抗うつ薬などは処方できません。
身体的疲労
①感染症
さまざまな感染症で倦怠感が出現します。細菌やウイルスと戦う免疫反応の過程で血液中に放出される物資が原因です。その中でも念頭に置いておくべき感染症が以下です。
*インフルエンザ:季節、周囲にインフルエンザの人がいる、急な発熱、悪寒戦慄がある
*急性肝炎;ものすごい倦怠感を生じるようです
生肉や生水の摂取がある、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
*結核;咳、痰や血痰がある、微熱が続く
倦怠感+αの症状を自覚する場合は早めの受診をお勧めします。
②内分泌疾患
細かな身体の状態を整えるのがホルモンの役割です。たくさんのホルモン関連疾患がありますが、代表的な“倦怠感”が出現しやすい疾患が以下です。
*糖尿病;インスリン、というホルモンの不足で体内の糖分を有効に利用できません。
やけにのどが渇く、尿が多い、最近痩せてきたなどあれば疑います。
*甲状腺機能異常;甲状腺ホルモン、は“身体を元気にする”ホルモンです。
よって、必要より多ければ勝手に体温が上がり、脈が上がり消耗します。
一方でホルモン不足の場合はむくみがでたり、精神的にも活気がなくなったりします。
*副腎疾患;あまり目立つ臓器ではありませんが、非常に重要なホルモンを静かに作り続けているのが、副腎で、腎臓の上にあります。急激な副腎機能の低下は意識障害を来したりする緊急疾患ですが、慢性的な副腎機能障害がある場合は体温が下がったり、血圧が下がったりします。特定の症状が出づらいのですが、食欲不振や吐き気などもある場合は疑います。
③炎症疾患
これもかなりざっくりした分類ですが、本来外敵(細菌やウイルス、異物)を除去するための免疫が間違って自分を攻撃してしまう自己免疫疾患でも倦怠感が生じます。攻撃対象によって症状も違いますが、関節が攻撃されれば関節リウマチ、血管が攻撃されれば血管炎、ほかにもSLE(全身エリテマトーテス)などがあります。
微熱が続く、関節が痛い、皮膚に所見がある、などの症状が伴う場合は疑います。
④心不全
心臓がいろいろな原因が基で機能が落ちてしまい、身体に必要な血液が十分に出せない状態が心不全といえます。重症な場合は息切れ、血圧異常がおこり、しばしば救急車で搬送されてくることもありますが、日々の生活は営めても、健常な人では疲れない程度の動きでも心臓は頑張って働くため、病的な倦怠感、疲労が出現することがあります。
⑤腎不全
腎臓の機能が低下している、という状態です。ステージによって、最終的には透析にいたることもある状態ですが、たとえ尿量が保たれていても、老廃物の排出が不十分であったりすれば倦怠感の原因となることがあります。
⑥貧血
酸素を運ぶヘモグロビンの不足が貧血です。出血や栄養不足、血液のお病気まで原因は様々ですが、いずれにしても貧血があると身体の筋肉などの組織が必要な酸素が不足するため、倦怠感を引き起こすことがあります。血液検査で貧血の有無を確認しつつ、もし貧血があればその原因を探していくことになります。
⑦薬剤性
分かりやすいのは睡眠導入剤などの内服があり、その薬効が残ってしまう場合です。
他にも降圧薬(血圧を下げるくすり)が効きすぎれば血圧が低下し、特に高齢者は元気がなくなることもあります。
⑧精神的疲労
いろいろな身体疾患を除外できれば、ひどい倦怠感の原因はやはりうつ病など精神科疾患の可能性があります。
*不眠
*食事が適切に摂れない 拒食、過食
*興味、意欲がわかない
などあれば、うつ病や急性ストレス障害の可能性もあります。内科から心療内科に紹介状を書いてもらってもよいでしょう。
チェックリスト
長々と(病的な)倦怠感の原因について書きましたが、以下のチェックリストに当てはまる場合は早めの受診を検討しましょう。
□1-2週間倦怠感がとれない
□発熱や悪寒戦慄がある
□食欲の変化や体重減少を伴う
□咳、痰、下痢、嘔吐、関節痛 など身体の別の部分の症状を伴う
□眠れない
更に内科を受診する場合は以下の項目を確認してから受診するとスムーズです
□いつから倦怠感がありますか?
□今までにかかった病気、怪我は?(既往歴)
□現在飲んでいる薬やサプリはありますか?(内服歴)
□他の症状がありますか?
熱、悪寒戦慄、体重減少、黄疸、咳、痰、下痢、吐き気や嘔吐、関節痛
最後に
慢性的な疲れはとても不快感がありますよね。生活が乱れて→疲労感が貯まる、というのはある意味仕方ないことですが、睡眠時間の確保や食生活を整えることは日々の生活でも工夫できる面があります。また、マッサージや鍼灸で癒せる疲労感もあります。
病的な倦怠感はしっかり受診して原因をはっきりさせましょう。
日々の疲れであれば、当院でも検査・治療だけでなく、癒しを提供できる可能性があります。是非ご相談ください。
以下鍼灸マッサージの紹介ページにとびます。