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SYMPTOM

背部痛 ~背中の痛み~

腰というより背中が痛い、ということはありませんか?腰痛の記事で書いたとおり、腰の定義は必ずしも確定的でないため、背中の痛みに関してもどのあたりが痛いかは個人差があると思います。今回は腰痛を除いた背中の痛み、背部痛に関して紹介します。(腰痛はこちらをご覧ください→

*背中の部位

*原因は?

*何科にかかるのが良い?

 

*背中の部位

背中の範囲をきっちり分けることは難しいですし、厳密に定義する意義も乏しいため、かなりおおざっぱですが、ここでは以下の図の青い範囲をおおむね背中として記載したいと思います。

 

*背中の痛みの原因

背部痛の原因は多岐にわたりますが、腰痛同様やはり整形外科的な痛み、すなわち筋肉、骨格系の痛みである場合が多く見られます。しかし、中には重篤な内臓の疾患が背部痛として出現することもあります。以下に内臓にかかわる背部痛、最後に整形外科的な痛みについて記載します。

内臓関連の背部痛は”背中”の範囲が広いため、多岐に渡ります。また、本来”腹痛”や”胸痛”を訴えがちな疾患でも人によっては背中の痛みとして訴えるため、背部痛だけから診断をつけていくことは実は結構難しいのです。まずは背部痛を引き起こしうる絶対に見逃せない病気を紹介します。

※胸痛の記事と被る部分があります。

心筋梗塞

緊急度=高

背部痛の種類=締め付けられるような痛みや重い痛み(鈍痛、象が乗っている等の表現をする方もいます)

痛みの出現=突然痛みが出現する場合もあれば、徐々に痛みが出現、悪化したり改善がなかったりします

言わずと知れた緊急疾患の心筋梗塞ですが、実は症状は様々です。気持ち悪い、実際に嘔吐した、胃のあたり(みぞおち)が痛い、左肩が痛い、顎が痛い、なんとなく元気がないなどありとあらゆる症状が心筋梗塞の兆候である場合があります。そして、時には背中側が痛くなることもあるのです。胸の左側が急に締め付けられるように痛くなって、脂汗をかいて呼吸も苦しそう・・という典型例だけでなく、上記のような非典型的症状も決して見逃すことができません。心臓の筋肉に栄養を送る血管が詰まることが原因のため、やはり中年~高齢者に多く、生活習慣病に基づく動脈硬化のリスクが高い場合に危険性が増します。疑う場合は心電図検査を行い、直ちに治療が必要となる怖い病気の一つです。

→心筋梗塞について

大動脈解離

緊急度=高

背部痛の種類=裂けるような痛みともいわれますが、言葉にするのは難しいようです。痛みが移動する場合も多いのが特徴です

痛みの出現=突然の強い痛みの場合もあれば徐々に背部痛が出現し、胸部にも痛みが出てくるなど様々なパターンがあります

大動脈は心臓から押し出された血液を全身に送る非常に太い動脈です。心臓を出た血管は脳への枝を分枝した後ぐっと後方に曲がって(大動脈弓)背骨の前をお腹に向かって下降します。この動脈の壁に傷がつき、壁の間に血液がメリメリと入り込むのが大動脈解離(壁が解離するということ)です。壁が剥がれていくため、枝分かれの部分が閉塞し、血液が行かなくなったり、壁が破ければ大量出血のリスクもある非常に危険な病気です。もし大事な動脈の枝が閉塞してしまうと脳梗塞や腕の血流不足が起こります。やはり動脈硬化や高血圧がリスクになります。痛みも強いことが多く、救急搬送されてくることが多い一方、何となくの背部痛→検査で大動脈解離発見という場合もあるため、医師泣かせの疾患でもあります。

腎臓梗塞

緊急度=高

背部痛の種類=通常は左右どちらかの腎臓に症状が出ますので、片側の背部、肋骨の下縁あたりに強い鈍痛が出現します

痛みの出現=梗塞は動脈が閉塞することで起こるため、腎臓梗塞も発症は”突然”です。ただし、腎梗塞については、CT検査などでたまたま見つかることもあります

動脈が詰まることで、人体の臓器はどこでも”梗塞”が起こりえます。その梗塞が腎臓に起こるのが腎梗塞です。腎臓は2個あるため、片側の機能低下が突然致命的な状態につながることは(基本的には)ありませんが、なぜ梗塞が起こったのか、が重要になります。心臓にできた血の塊が飛んできた場合、その血の塊が脳に行けばすぐに脳梗塞になってしまいます。実は上述の大動脈解離も腎臓梗塞の原因となります。よって、CTなどで腎臓の梗塞が疑われれば、その原因検索が非常に重要になります。

急性膵炎

緊急度=高~中

背部痛の種類=激しい鈍痛を訴える方が多いようです。心窩部(みぞおち)の痛みを訴える方も多いです

膵臓は胃の裏側にある地味ながらとても重要な臓器の一つです。様々な消化酵素やインスリンなど重要なホルモンを分泌します。膵炎とはこの膵臓に炎症が起こる疾患です。原因は胆石によって膵液(消化液)を出す経路が詰まって起こる場合(胆石性膵炎)やアルコールが原因となる場合(アルコール性膵炎)、他にも血液中の中性脂肪が高すぎる場合も膵炎のリスクとなります。膵炎は重症度のばらつきが大きいものの、本来食物を分解するための酵素が壊れた膵臓から漏れ出て周囲の臓器にダメージを加えてしまうため、重症膵炎は致命的な経過をたどることも少なくない怖い病気です。研修医の時に膵炎は「腹腔内のやけど!」と聞いてなるほど、と思ったものです。普段は中々疑うのは難しいものの、膵臓の酵素であるアミラーゼ(AMY)などを調べたり、エコーで胆石の有無を調べる、CTで膵臓周囲の所見を見るなどの検査が有用です。

腎盂腎炎

緊急度=中~

背部痛の種類=右または左の背部に重だるい感覚を訴える方~比較的強い痛みを訴える方まで様々です

詳しくはこちらをご覧ください→

尿路感染症の一つです。膀胱炎や尿道炎よりも上流の腎臓の入り口まで炎症が波及してしまった重症の尿路感染です。ほとんどが感染によるものであり、背部痛に加え発熱、混濁尿など他の症状も出現します。血液検査で体内の炎症を調べたり、エコー検査で腎臓の所見を見る、尿検査やCT検査で診断をつけていきます。

尿路結石

緊急度=中~低

背部痛の種類=男性が経験できる最強の痛み、とも言われるのが尿路結石による痛みです

腎臓にできた結石が尿管を降りてくる時に強い痛みが生じます。右、または左の背部~腰に強い痛みが生じます。尿管の動きに合わせ痛みに波があったり、結石が膀胱に到達してしまえばすっと痛みが消えるなど特徴があります。患者さんは男性に多く(約2倍)脂汗をかきながら背中や腰を抑えて、車いすで運ばれてくる方もいます。上記の大動脈解離も痛みが強く、移動するという特徴があり、早急な診断・対応が必要であるため、医師としてはどちらの痛みなのか、とても緊張して診療を行うことになります。

整形外科的痛み →腰痛もご覧ください

ヘルニア

脊椎狭窄

圧迫骨折

 

*何科にかかるのが良い?

上記のように背部痛の原因は多岐に渡るため、背部痛ならこの科にかかりましょう!というのは中々言えません。内科的・外科的な緊急の疾患の可能性もあるため、以下のチェックリストに当てはまる場合は早急に総合病院の受診を検討してください。

緊急疾患の可能性がある場合

□今までに経験したことのない痛み

□何時何分~と言えるくらい急に発生した痛み

□意識に異常がある

□高熱、息苦しさなど背部痛以外に強い症状がある

 

緊急ではなくても病院に受診する場合は以下のチェックリストを確認してから受診していただくとスムーズです。

まずは内科または整形外科で痛みを相談していただくのが良いと思います。

□いつから、どこが、どのように痛むか

□痛みに波はあるか

□深呼吸や上半身の動きで痛みが悪化するか

□最近のケガ、転落、筋トレなどはあるか

□その他の付随症状(発熱、排尿時痛などなど)があるか

□今までにかかった病気はあるか(既往歴)

□今飲んでいる薬はあるか(内服歴)

 

背部痛を訴えて受診される患者さんはあまり多くはありませんが、原因は多岐に渡りますし、中には怖い病気も隠れている可能性があります。不安な症状がある場合は是非一度内科または整形外科のかかりつけの先生に相談してみましょう。もちろん当院でも診療を行います。

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