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SYMPTOM

ドライスキン 乾燥肌の悩み解決にクリニックでできること

乾燥肌・・私自身ずっと悩まされている症状です。

小さいころからかなり重症度の高いアトピー性皮膚炎があり、夏場は汗、冬場は乾燥・・つまり1年中皮膚の悩みは尽きませんでした。

皮膚科にも通っていましたが、やはり体質の影響も大きいため、中々改善せず、成人して色々試し、30代になって少しずつ軽快してきた感覚です。

とはいえ乾燥の時期になると肌はぱりぱり、少し掻けば白くなるのは相変わらず。

クリニックでも乾燥肌のご相談を受けることが増えてきました。乾燥肌の治療は1にも2にも保湿!

ということでクリニックでしばしば用いる保湿薬と漢方をはじめとした内服薬をご紹介します。

①保湿薬+α

代表的な医療用医薬品の保湿剤には、ワセリン(プロペト)、ヒルドイドをはじめとしたヘパリン類似物質含有製剤、尿素製剤(ウレパール等)があります。

ワセリンは皮膚を油の膜で覆うことで皮膚の水分蒸発を防ぐ形で保湿を図ります。しっかりと皮膚にカバー(蓋)をできる一方、べたつくという難点があります。ヘパリン類似物質含有製剤は塗った部位でお薬自体が吸湿、皮膚の角層に水分を届ける作用があり、持続的な保湿効果があります。ウレパールなどの尿素製剤は、ヘパリン類似物質と同様に、吸湿して角層に水分を付与しますが、皮膚の角質融解作用(皮膚の表面を柔らかくする)があり、バリア機能が低下してしまった皮膚ではひりひりとした刺激を感じることがあります。

*ワセリン(プロペト)

ワセリン・・薬局でも手軽に買える心強い保湿剤です。皮膚の表面を油で蓋、水分の蒸発を防いで保湿するタイプの保湿剤です。ワセリンは物質名ではなく、商標名(商品名)ですが、日本ではすっかり定着しています。ワセリンの原材料は原油です。原油からナフサ、流動パラフィンおよび結晶性パラフィンを分離した後の残油から、さらに微結晶性パラフィンを分離したものがワセリンです。このワセリンから更に不純物を除いて純度を高めたのがプロペトです。白色ワセリンもプロペトも処方が可能ですが、プロペトの方が純度が高いため、例えば眼科用軟膏にも使用できるという特徴があります。

ワセリンやプロペトは基本的にどこの皮膚に塗布しても問題ないため、特にお風呂上りなどに全身に薄くさっと塗布するなどの使い方が可能です。

※ちなみに、皮膚の弱い私は通常のワセリン(店頭で売っているもの)を使用すると、たちまち皮膚が真っ赤になり、かゆみが生じてしまうため、プロペトや市販のワセリンの中でも純度の高いワセリンベビーのみ使用が可能です。ワセリンは保湿剤としてとても有用ですが、特に皮膚が弱い自覚のある方は、最初からあまり広範囲に塗布することは避けた方が良いでしょう。

 

*ヒルドイドクリーム等 ヘパリン類似物質含有製剤

一時期医療目的でなく、美容目的での使用者が増えてしまい問題となったヒルドイド・・とてもいいお薬であり、使用が必須の身としては腹立たしいニュースでありました。最近も保険から外されてしまうか、と懸念されていましたが、どうにか保険から外れることなく処方可能なお薬として残りました。

ヒルドイドが有名ですが、すでにたくさんのジェネリック薬品が出ているのがヘパリン類似物質含有製剤です。

皮膚に塗布するとお薬自体が吸湿、皮膚に水分を届けてくれる作用があるため、持続的な保湿効果が期待できます。クリーム、ローション、フォームの剤形があり、用途に合わせた剤形を選択できるのも特徴です。

 

*尿素製剤

ヘパリン類似物質含有製剤同様、吸湿効果のある保湿剤です。それに加えて皮膚を柔らかくする、すなわち皮膚の表面、角質融解作用もあるのが特徴のお薬です。ヘパリン類似物質含有製剤と同じくいくつかの剤形があるため、用途に合わせて選択することが可能です。

※私自身は基本的に皮膚の荒れがひどい場合、容易に傷がついてしまうため、刺激作用のある尿素製剤は使いづらく、あまり使用したことはありません。

 

最後にレスタミンコーワクリームをご紹介しておきます。

これは保湿剤ではありませんが、アトピー性皮膚炎でかゆみが強い場合は強い味方!塗り薬にかゆみ止め成分が入っているという素晴らしい!?お薬です。ジフェンヒドラミンというヒスタミンを抑える成分が入った塗り薬です。発赤、膨疹、かゆみなどのアレルギー性の皮膚症状を和らげてくれます。一般的にはじん麻疹、湿疹、小児ストロフルス、皮膚そう痒症、虫さされの治療に用いられますので、かゆみが強く、湿疹が出てきてしまったアトピー性皮膚炎の場合でもしようが可能です。

※まったく皮膚疾患のない方にはわかりづらいかもしれませんが、一見すると見た目では何の問題もない(なさそう)な皮膚でもアトピー素因がある場合、かゆみを感じていることが少なからずあります。さらに悪化したり、かゆみに耐えられず掻いてしまうと皮膚が切れたり湿疹が出現してきます。その痒みも抑えてくれるのがレスタミンコーワクリームなどの痒み止め成分が入った薬剤です。

 

②内服薬

乾燥肌に著効する内服薬はありませんが、体質改善を図る目的で漢方を使用したり、アレルギー反応がありそうな場合は抗アレルギー薬を使用することがあります。

☆温清飲:漢方薬

皮膚がカサカサして色つやが悪い患者さんの生理不順や月経困難、更年期障害の諸症状や神経症、湿疹・皮膚炎に用いられる漢方薬です。皮膚に熱がこもると炎症やかゆみが生じ、栄養や潤いを隅々まで届けてくれる血の流れが滞ると、皮膚の乾燥や炎症は悪化しやすくなると考えられています。温清飲は、体内にこもった熱を冷ます「黄連解毒湯(おうれんげとくとう)」と、足りなくなった”血”を補う「四物湯(しもつとう)」という漢方を合わせた薬です。湿疹や皮膚炎などの皮膚症状にしばしば使います。

☆抗アレルギー薬(アレルギーの薬)

乾燥肌を契機に皮膚のバリア機能が低下すると、特にアトピー素因のある人は容易に湿疹を来たします。痒みが強いと掻き壊し→また湿疹という悪循環に陥ってしまうため、しばしばかゆみ止めとしてアレルギーに効くお薬も使用します。ヒスタミンという成分を抑える抗ヒスタミン薬がしばしば使われます。眠気などの副作用もあるため、かかりつけの先生に相談しながら薬剤選択をすることが重要です。

 

最後に

冬になると乾燥肌で悩む患者さんは増えますし、通常の受診の時に相談をいただくことも増えてきます。クリニックでは乾燥肌の患者さんに保湿剤や漢方の処方も行っています。もちろん皮膚の専門家は皮膚科の先生!ということで重症度の高い湿疹などは皮膚科にご紹介になりますが、普段の乾燥肌診療なら内科クリニックでも可能です。

個人的にも悩みである皮膚の不調・・やっと普段の生活は痒みから解放されていますが、体調変化で一番影響を受けやすいの皮膚であるのは変わりません。いろいろ試した中で、医師として、より患者として、これを使ってみては?というものもあります。医学的でなくなるためブログには記載しませんが、お困りの方は是非気軽にクリニックでご相談いただければと思います。

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