SYMPTOM 症状から探す
咳 ~痰の有無、持続期間が重要です~
咳、風邪を契機に長引く咳に困っていらっしゃいますか?就寝時間になると咳が止まらなくなりますか?咳は非常に煩わしく、一方で誰でも体験したことのあるありふれた症状の一つです。
咳は1回で1-2Kcal程度のカロリーを消費するとも言われますので、咳が続くとどんどん体力が消耗してしまいます。夜間の咳は不眠の原因になることもあります。
咳の原因は多岐にわたりますし、疾患によっては早期の専門科の受診が必要になります。まずは咳の分類、原因を確認、最後に受診のタイミングについて見ていきましょう。
□咳とは?
煩わしい「咳」ですが、決して無駄に出ているわけではありません。咳には気道内の異物や痰などを排除し,空気の通り道をクリアにする生体防御反射としての役割があります。
例えば細かいチリやほこりなどを吸い込んでしまった場合、咳が出ますが、これは身体を守るために必要な反射です。感冒などで痰が増えた時にも咳が出ますが、これも痰を出すために必要な咳です。咳反射が弱っていたり、筋力が著しく弱っていて咳ができないと、むしろ痰による窒息や肺炎の悪化などのリスクもあります。
もう一つ、咳の原因となるのが、気道の炎症です。気管支喘息や慢性気管支炎では常に気道の粘膜が炎症にさらされ、気道内の咳レセプター(咳受容体)が刺激を受け、咳を誘発することになります。
咳は大きく痰を伴う咳(湿性咳嗽 しっせいがいそう)と痰を伴わない咳(乾性咳嗽 かんせいがいそう)に分けられます。
湿性咳嗽はいわゆる風邪の時に多く聞かれ、ゴホンゴホンとかゲホゲホといった湿った音の咳です。一方乾性咳嗽はコンコンとでも言いますか、文字通り痰を伴わない渇いた咳です。
また、咳症状の持続期間でも分類が可能です。
3週間以内の急性咳嗽、3週間以上継続する遷延性咳嗽、8週間以上持続する慢性咳嗽です。
咳の原因は本当に多岐にわたりますが、痰の有無、期間、そしてその他に伴う症状によって原因を類推することが出来ます。
ガイドラインがフローチャートで咳の分類をしています。今回はそれに合わせてみていきたいと思います。
※咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019(日本呼吸器学会)から転載、追記
これらは医師が参照するガイドラインのため、一部わかりづらいかと思いますが、
咳は痰の有無、持続期間から、そして疾患の頻度も加味して大きくは
〇痰を伴う湿性咳嗽が3週間以内でおさまる=感染性咳嗽(感染症による咳)
〇痰を伴わない乾性咳嗽が長期間続く=咳喘息、胃食道逆流、アトピー性咳嗽、感染後咳嗽
〇明らかな原因がある咳=肺癌、COPD(タバコ病)、気管支拡張症、薬剤性 など
と分類することが出来そうです。
咳は症状が辛ければすぐに受診してよい症状です。その原因に合わせて咳止めや必要なお薬は異なりますが、咳によって体力を消耗したり、肋間神経痛になってしまったり、夜眠れなかったり、更に喉の痛みが増してしまったりするため、まずは咳を止める方策を考えることは理にかなっています。また、咳喘息は放置することで喘息に移行することもあるため、早めの対処が重要です。
以下のような場合は早急な受診を検討してください
・明らかに呼吸の状態が悪い(息切れが目立つ、著しく苦しい、顔色が悪い等)
・高熱が持続する、悪寒戦慄がある
・血痰を伴う
・微熱、咳が2週間以上続く(→結核の可能性があります)
それ以外の場合でも症状緩和や原因検索は病院、クリニックの受診が必要な場合が多いのが咳です。咳症状が気になる場合は積極的な受診をご検討ください。