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気象病 天候による自律神経調節障害

天候の変化で不調をきたす方は多いと思います。

クリニックでお仕事をするようになってから、こんなにたくさんの方が気象に伴うと思われる頭痛、めまい、肩こりやそこからくる不眠などの体調不良に悩まされていることを知りました。(やはり総合病院ではあまりこういう”なんとも言えない不調”の症状を診療することは多くありませんでした・・)

例えば血液検査や心電図、レントゲン検査では何ら異常が検出されないこれらの不調、一部は”気象病”としか形容し難い自律神経障害が原因です。

正式な病名ではありませんが、多くの人が患う天候変化に伴う体調不良について紹介します。

気象病?

原因は?

症状は?

診断は?

治療は?

最後に

 

気象病?

読んで字の如く、気象によって様々な症状を来たす状態の総称です。正式な医学的病名ではありませんが、たくさんの人が多かれ少なかれ天気による体調変化を自覚していると思います。

「低気圧が来ると(天気が崩れると)頭痛がする」「雨の前は関節がうずく」など天候変化で症状を訴える方はたくさんいます。

気象病については昔からいろいろと研究がなされているようですが、人によって症状の中身も重症度も異なることから、そもそもの原因は解明されていません。

 

原因は?

原因としては気圧や気温、湿度などの変化に伴う自律神経失調が有力視されています。

特に影響が大きいのが気圧といわれており、低気圧接近時に症状を訴える方が多いのも事実です。

気圧の変化は我々の耳の奥、内耳にある圧力センサーを刺激します。(もともと内耳は身体のバランスを司る器官(前庭器官)として有名です)このセンサーの感度は個人によってずいぶん差があるようですが、敏感な方の場合、めまぐるしく変わる気圧によってこのセンサーが刺激されその情報が脳に伝わり、自律神経(交感神経+副交感神経)の機能が障害されるようです。

症状は?

自律神経失調に伴い様々な症状が様々な程度で出現します。よくある症状は以下の通りです。

・頭痛

・めまい

・疲労感、倦怠感

・吐気

・肩こり

・関節痛

・精神的不調(うつ等)

・喘息発作の悪化

・狭心症などの心疾患の症状悪化

他にも神経痛や古傷の痛み、血圧の低下や手足のしびれが出る方もいるようです。

診断は?

以前から天候の変化に敏感であったり、季節によって変動のある症状を自覚している方は少なくありません。また例年のあれか・・ということであれば、まずは症状緩和のお薬などを使いながら経過を見ていくだけでよい場合もあります。

Ex)頭痛に対して鎮痛薬、吐き気に対して吐気止めや胃薬など

一方、上記のような症状が内臓の病気によっておこる場合も少なからずあります。普段頭痛のない方の初発の頭痛やみぞおちの異和感が出血や腫瘍など緊急性の高い疾患のサインの場合もあるわけです。

よって、症状の出現形式などに注意しつつ、気になる症状があれば、診察、血液検査、画像検査(胸部レントゲンやCTなど)、心電図検査、エコー検査など内臓の状態を調べる検査を行ないます。

これらの精密検査でも異常がなく、天候変化で症状が変動する、などのエピソードが確認できれば”自律神経失調症”として対応していくことになります。

治療は?

これなら効く!という治療法は残念ながらありません。

上述のように、気象病が疑われればまずは各症状に対して個別に対応していくことになります。

また、漢方もしばしば効果を発揮します。十把一絡げには言えませんが、気象病のKey wordは「水毒」「水滞」です。これは体内に水分が余分に貯留して、様々な症状を来たす漢方特有の考え方ですが、教科書などを読むと気象病の概念や症状にぴったり当てはまる場合が少なくありません。

そういう場合は五苓散などの水毒を治療する漢方が気象病にともなう自律神経失調症状に効果を示す場合があります。

最後に

若い時にはあまり気が付きませんでしたが・・最近低気圧接近時の倦怠感や頭痛がわかるようになってきました。薬を飲むほどではないものの、気分も含め晴天が待ち遠しくなります。天候によって変動する不調を抱えている方は非常に多いようです。おそらく市販薬などで症状を緩和して過ごされている方もたくさんいらっしゃることと思います。一方で漢方が効く場合もあり、一度は試してみても良いのではないかと考えています。上記のような症状でお困りの方は是非近医内科や漢方医の先生に相談を検討してください。もちろん当院でも積極的に漢方の処方や必要時は鍼灸マッサージの紹介を行います。気軽にご相談ください。

 

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