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ギランバレー症候群 下痢の後のしびれに要注意!

ギランバレー症候群という名前を聞いたことがあるでしょうか?何やら難しい病名ですが、神経疾患によくある見つけた(報告した)人名を冠した病名です。

ギランバレー症候群は体の動きをつかさどる末梢神経に自分の免疫が誤って攻撃を加え、神経の情報伝達が著しく遅くなることで手足のしびれや麻痺を起こす疾患です。

時に呼吸や飲み込みを司る神経にもダメージが加わるため、人工呼吸器が必要になることもあるなど、決して侮れない病気の一つです。

この恐ろしい神経疾患の原因の一つが発症の数週間前に先行する感染症です。特に食中毒で下痢を起こすカンピロバクター感染がリスクとなることがあります。

食中毒が増えるこの時期、つらい嘔吐や下痢に続いて1~4週間程度してから手足のしびれや脱力があればギランバレーを疑う必要があります。

どのような病気であるか、確認していきましょう。

*ギランバレー症候群とはどのような病気?

何らかの原因で手足の動きや感覚を司る末梢神経に対する自己抗体が産生され、神経伝達を阻害してしまう疾患です。末梢神経がダメージを受けるため、手足の先から徐々にしびれや脱力が起こり、日~週単位で悪化、体幹に向かって拡大してくるのが特徴です。

症状は発症から3週間程度で最も重くなり、その後自然回復することもある疾患です。ただし時に致命的な経過をたどったり後遺症を残すこともあるため、決して侮れない疾患と言えます。

1年間で10万人に1-2人が発症すると言われています。

*原因は?

はっきりとした原因はわからない場合もありますが、特定の自己抗体(自分の組織を攻撃してしまう免疫物質)が検出される場合もあります。

なぜ自己抗体ができてしまうかはまだわかっていませんが、カンピロバクター感染(Campylobacter jejuni)などが先行する場合もあります。

恐らく細菌やウイルスに対して体が戦うために産生した抗体の一部が誤って自分の神経も攻撃してしまうのが原因であると思われます。

外にもワクチン接種の使用が原因となる場合もあります。

*症状は?

末梢神経が傷害されてしまうため、ダメージを受けた神経に合わせて様々な症状が出現します。

①運動神経;手足の運動や呼吸、飲み込みはすべて脳が出した指令を末梢神経が筋肉に伝え、行われます。よって末梢神経の中でも運動の神経がダメージを受けると麻痺がおこってしまいます。徐々に進行しますので、最初はペットボトルが開けられない、万歳できない、階段でつまずきやすくなる程度の症状から、ひどい場合は寝たきりで手足が全く動かせない程度の重度麻痺に至る場合もあります。特に呼吸の筋肉でダメージが大きいとしっかりと自分で呼吸を保つことが出来なくなるため、人工呼吸器の装着が必要になってしまう場合もあります。

②感覚神経;手足のびりびりしたしびれ感や重度の場合は感覚脱失(何も感じない)まで至る場合もあります。手足、体幹、顔面の症状が出る可能性があります。

③自律神経;脈や血圧を調整する自律神経にもダメージが加わる場合があります。その場合、異常な高血圧や低血圧になったり、突然脈拍が速くなるなど自律神経障害に伴う症状も出現することがあります。

*診断は?

一番大切なのは病歴と身体診察の所見です。例えばどんなに症状が似ていても1年かけて悪化してきた麻痺やしびれ感であればギランバレー症候群は否定的です。

日~週単位でしびれや麻痺が進行してくる、先行する感染症がある場合は積極的にこの疾患を疑って検査を行います。

血液検査、髄液検査、電気伝導検査が重要です。

※電気伝導検査:例えば皮膚の上から神経に直接電気刺激を加え、その神経が支配する筋肉が収縮するまでの時間を測定することで神経の伝達速度などを知ることが出来る検査です。

*治療は?

自分の神経を誤って攻撃してしまう抗体という物質が病気の原因ですので、この抗体を薄めたり減らしたりすることが根本的な治療となります。現在ギランバレー症候群に対しては大きく2つの治療法があります。

①IVIg:大量免疫グロブリン静注 献血で集められた他人の抗体(免疫グロブリンと言います)を大量に患者さんの血液中に投入して、原因となっている抗体を薄めてしまおう、というコンセプトの治療です。メカニズムの詳細はまだまだわかっていないことも多いものの、治療効果は明らかであり、点滴だけで治療できるので、②に比べると侵襲性の少ない治療法と言えます。

②PE:血漿交換 原因となる物質(抗体)を血液中から除去してしまおう、という治療です。透析のように太い血管から一度血液を体外に出し、機械で濾して、抗体が減った血液を体内に戻します。太い管を血管に入れる必要があったり、血液の出入りが大きくなるため、例えば血圧が安定しない患者さんでは施行しにくいなどの制限があります。

基本的にIVIgとPEの治療効果は同等と言われます。

*病院に行かなければならない?

基本的に医師がギランバレー症候群を疑えば入院、検査、そして早急な治療介入が必要になります。特に呼吸や飲み込みが悪くなると一気に人工呼吸器が必要な病態に移行することもまれではありません。先行する感染が無くても、急に手足のしびれや脱力をきたす場合は早めに内科で相談が必要です。おそらく極めて軽症の経過で病院にもかからず治ってしまっている場合もあると思われます。よって、病院に行くかを考えるほどの気になるしびれや脱力があれば積極的に受診をしてください。

当院でも診療可能ですが、ギランバレー症候群を疑う場合は入院設備のある施設にご紹介させていただきます。

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