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破傷風ワクチンのすすめ ~屋外作業がリスクになります~

破傷風、洪水後の泥・がれき撤去作業で感染のリスクがあるということで話題になっています。

昔の病気、というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、今でも国内で年間120人程度の方が発症し、致死率も約30%(=40人/120人の方が亡くなる計算です)の恐ろしい感染症の一つです。(世界では年間50万人の方が死亡しているとも言われます。)

破傷風はワクチンでの予防が可能な感染症の一つです。災害の多い昨今、以前受けた予防接種での免疫は既に低下している可能性もあり、追加接種をおすすめしたいワクチンの一つです。

破傷風がどのような病気か見ていきましょう。

*破傷風とは?

破傷風は世界中の土壌に広く生息する破傷風菌という細菌による感染症です。破傷風菌は動物の腸や糞にも存在します。この破傷風菌が傷口などから体内に入り、増殖してしまうと強力な神経毒素を産生します。この毒素は非常に毒性が高く、1グラムが成人約6千万人の致死量に相当するともいわれます。この毒素が体内にまわると全身の筋肉が硬直したり、呼吸の筋肉が麻痺したり、けいれんを起こしたりします。潜伏期間は3-21日と幅があります。

*感染経路は?

土の中にも広く生息する菌であるため、屋外でけがをするとリスクとなります。深い刺し傷(屋外でさびた鉄くぎを踏み抜いてしまう等)でリスクが高いですが、浅い切り傷ややけどから菌が入ったり、中には明らかな傷が無くても発症することがあるようです。植物のとげからの感染患者さんも見たことがあります。

*治療は?

破傷風菌に対して抗生物質を使用するとともに、破傷風の毒素を中和する抗破傷風ヒト免疫グロブリン (TIG)療法が必要です。更にけいれんがあれば抗痙攣薬、呼吸がうまくできない場合は人工呼吸器管理が必要になります。

また、傷があればその部分をできるだけ取り除いて(デブリードマン)傷をきれいにすることが必要です。

尚、破傷風は人から人への感染は起こしません。

*予防は?

適切な医学管理が行われても致死率の高い破傷風ですが、ワクチンでほぼ100%予防できるという特徴があります。現在日本では小児に対しては定期接種で破傷風トキソイド(ワクチン)が投与されています。しかし、大人になるとその効果は徐々に減ってしまいます。

小児期にワクチンを打っている方でも、成人になってからも10年に1度ワクチンを打つことで、破傷風に対する免疫が維持できるといわれています。

庭いじりや屋外活動を趣味とする方は10年毎にワクチン接種を検討しても良いかもしれません。その場合は自費での接種となります。

既にけがをしてしまい、ワクチン接種状況が不明な場合は傷を処置するだけでなく、破傷風の予防接種を受けていただくこともあります。この場合は医療保険の適用があります。

 

→クリニックでも破傷風トキソイドの接種が可能です。接種希望がある方は電話でご連絡ください。

自費での接種の場合は2000円で施行しています。

 

予防接種スケジュール

*定期接種(公費の助成があります)

四種混合(DPT-IPV)ワクチン:生後3か月-7歳半 ×4回

二種混合(DT)ワクチン:11-12歳 ×1回

*任意接種 3回以上の予防接種歴が確認できる場合は10年毎の追加接種がおすすめです

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