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JATEC 番外編)高エネルギー外傷について

外傷診療において重要なのがどのようにケガを負ったか、すなわちMechanism(受傷機転)です。

転んでもケガをしますし、刃物で手を切ってしまってもケガはします。しかし、救急外来の現場で重要になるのはより重度の外傷を引き起こすような受傷機転であり、

特に重症度が高くなりがちな受傷機転をまとめて高エネルギー外傷と称します。

JATECでは高エネルギー外傷を以下のように示しています。

  • 高所墜落
  • 以下の自動車事故
    同乗者の死亡
    車の横転
    車から放り出された
    車が高度に損傷している
  • 歩行者・自転車が車に衝突された
  • 車に轢かれた
  • 転倒したバイクと運転者の距離が大きい
  • 機械器具に巻き込まれた
  • 体幹部が挟まれた

ただしこの場合、高所の基準や事故車のスピードなどは記載がありません。

そこでもう少し具体的な基準を探すと、以下のような文献があります。

  • 高所墜落
    成人:約6m 以上(2階)
    小児:約3m以上、もしくは身長の2-3倍
  • 自動車事故
    >45cm以上の車の陥入
    車から放り出された(部分的もしくは完全に)
    同乗者の死亡
  • 歩行者・自転車
    車に轢かれた
    >32km/hの速度で車と衝突
  • バイクで>32km/hの速度での事故

(Guidelines for Field Triage of Injured Patients: Recommendations of the National Expert Panel on Field Triage, 2011)

 

海外の文献であり、数字がぴったりの値にはなりません。臨床現場ではエアバッグが開いていたかなども重要な情報になります。

※エアバッグの展開自体がエネルギーの大きさを物語るとともに、エアバッグ自体が「時速100-300Km」で傷病者にぶつかるため、それ自体の威力も無視できません。

これらを念頭に特に高エネルギー外傷の場合はより慎重に外傷診療にあたる必要があります。

 

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