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JATEC② 備忘録

JATECの記事第2弾です。第1弾では救急隊からのCallからPrimary surveyまでを記載しました。(こちら→

今回はPrimary surveyを終えた後の評価、Secondary surveyについて記載します。

Secondary Survey(SS)

・Primary surveyで切迫するDを認めた場合、Secondary Surveyの最初に頭部CTを実施します。ただし、バイタルサインが安定していることが前提です。

・続いておなじみのAMPLEを確認します。(臨床現場では救急隊からの情報でこれらを把握できる場合も多いです)

A:Allergy M:Medicine(内服薬、お薬手帳等確認) P:Past medical history(既往歴) L:Last meal E:Event(受傷機転 詳細を聴取)

全身観察を行います(Head to Toe、Front to Back)

◇頭部、顔面:外傷、出血、変形を確認します。前額部の損傷は頚部の過伸展を示唆する場合があります。また、耳や鼻からの髄液漏も重要な所見です。

口腔内の外傷、歯牙や義歯の損傷も重要です。

◇頚部:再度頚椎カラーの前面を外し観察、評価を行います。経静脈怒張なし、呼吸補助筋の使用なし、皮下気腫なし、気管偏位なし、頸椎後部正中の圧痛なし、鎖骨異常なし、を確認します。これで所見がなければSSの後で頚椎3方向のXpまたはCTで骨傷を確認します。

カラーを除去する場合は一人が頭部を保持し、患者さんには自分では動かないよう声を掛けます。続いてゆっくりと自力で左右に首をひねって(回旋して)いただき、痛みや四肢へのしびれの放散が無いかを確認します。最後に顎を胸につけるように力を入れていただき(前屈)痛みを確認します。痛みが無ければカラーは除去が可能です。痛みやしびれ感があれば再度カラーで頚椎固定を行い、MRIでの評価を検討します。

◇胸部:ここで12誘導心電図も行います。心筋挫傷などが見つかる場合があります。

つづいて胸部Xpの詳細を評価します。ここではPATBED2Xを捜索します。

Pulmonary contusion、Aortic rupture、Tracheobronchial rupture、Blunt cardiac contusion、Esophageal rupture、Diaphragmatic rupture、pneumothoraX、haemothoraX

◇腹部:FASTを繰り返します

◇骨盤:骨折の確認は触診ではなくXpで行います。(とJATECの指針では示されていますが・・現実的にはCTで評価している医療施設がほとんどではないでしょうか・・)

◇外陰部:尿道口や肛門からの出血、皮下血種を確認します。尿道カテーテルの留置、直腸診による肛門括約筋の緊張、粘膜断裂などを確認します。

◇上下肢:1肢ずつ確認します。関節や骨幹部の外傷、圧痛を近位部から遠位部にかけて評価します。

◇背部:基本的には頭部保持をしつつlog rollで行います。四肢の外傷が目立つ、骨盤骨折が認められる場合はflat liftで水平に持ち上げ、背面観察を行います。背面は外傷、打撲痕、変形、椎体の圧痛を確認します。

◇神経:再度GCSや瞳孔、麻痺の有無を確認します。

これらを経て全身状態の把握と必要な介入を行います。

高エネルギー外傷の場合は例えその場で明らかな損傷を認めずとも経過観察目的に入院を要する場合も少なくありません。

(高エネルギー外傷についてはこちら→

 

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