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寒くなると増える病気 ②脳出血

寒くなると増える病気 第2弾は脳出血です。前回は心筋梗塞について紹介しました。(記事はこちら→

脳出血は読んで字の如く、脳の血管が破れ、その周囲に血が出てしまう疾患で、少なからず致命的な経過をたどったり重い後遺症を残す怖い病気の一つです。

脳出血の原因で非常に重要なのが高血圧、冬場は寒さにより血管が収縮して血圧が上がりやすく、また寒暖差による血圧の急な変動も起こりがちのため脳出血が増えます。

脳出血の症状や予防、受診の目安を紹介します。

*脳出血とは

脳の中で血管が破れ出血する病気です。脳の実質(脳そのもの)の中で出血する狭義の脳出血と脳を包む膜の部分で出血するくも膜下出血があります。どちらも冬場に増加する病気です。

脳はとても重要でありながら柔らかく、繊細な臓器・・それを守るのが脳の周りの水分と硬い頭蓋骨です。出血により、脳の神経細胞そのものがダメージを受けるとともに頭蓋骨の中の容積が増大すると脳はどんどん骨に押し付けられ、圧迫されることになります。これらのダメージが合わさって様々な症状が出現します。

*症状は?

症状は出血の部位、量によってさまざまです。最重度の場合は突然の大量の出血により瞬時に意識がなくなり、呼吸が停止、致死的経過をたどってしまうことがあります。一方で出血部位によってはほぼ無症状で経過する場合もあります。したがって、以下のような症状があれば脳の疾患も疑って早期に病院やクリニックの受診を検討する必要があります。

◎頭痛 かなりの率で見られる脳出血、くも膜下出血の症状です。突然の比較的強い頭痛、特にくも膜下出血の場合は突然頭を金づちで殴られたような頭痛がおこるともいわれます。

◎意識障害:突然~ここ数日でぼーっとしたり呼び掛けても反応が鈍いなど意識の状態に変化があれば早急な受診、場合によっては救急要請が必要です。意識障害の場合、右や左に眼球が偏る共同偏視を認めることもあります。

◎麻痺:体を動かす神経経路にダメージがあると麻痺がおこります。一概には言えませんが、麻痺は身体の左右どちらかに起こることが多く、右の手と左の足、のようなちぐはぐな麻痺はおこりません。左右どちらかの顔、手足が動かない、動かしづらい場合、麻痺を疑います。

◎構音障害;話しづらい、ろれつが回らない、という症状です。言葉そのものが思い出せなく、発することが出来ない失語とは違い、上手く言葉を構成できないことを構音障害と称します。

◎しびれ;脳の感覚をつかさどる部分に傷害が及べば手足や顔、下のしびれ感をきたすこともあります。やはり右または左に限局することがほとんどであり、両手や両足、という形での症状は脳以外の原因を検討するサインとなります。

◎視野障害:突然目の見え方、特に視力そのものよりも見える範囲(=視野)に変化が起こることがあります。どちらの目で見ても、両眼で見ても視野の半分や上、下の1/4が見えなくなっている場合、目そのものではなく、目で見た情報をコントロールする脳の一部に傷害がある可能性が高くなります。

他にも急に精神的な変化をきたしたり、手足のコントロールがつきづらくなったり(小脳失調など)目をつぶると立っていられなくなる(後索障害など)、手足が勝手に動く、など変わった症状が脳内の変化を反映していることもあります。

*治療は?

脳の出血はCT検査が最も確実です。もちろんとても出血量が少ない場合CTでも発見できない場合もありますが、脳実質(脳そのもの)の中の出血についてはCT検査が必須です。

CTで脳出血が見つかった場合、まずは血圧を下げることが必要です。できる限り”今以上”の出血を防ぐためです。

そして場合によって保存的治療(手術なし)、手術加療が選択されます。脳出血をメインで診療するのは脳神経外科の先生たちです。

*予防は?

いわゆる生活習慣病に伴う動脈硬化はここでも重要な脳出血のリスクとなります。血管がもろくなるほど出血しやすくなるイメージです。(詰まりやすくもなるので動脈硬化は本当にいいことがありません・・)更に、高血圧は脳出血の独立した重要なリスクです。研究によっては高血圧がない方に比べ、上の血圧も下の血圧も高い場合(140/90mmHgを超える)場合、脳梗塞の発生が10倍近くまで増加するともいわれます。(Ref:http://www.do-yukai.com/medical/39.html)よって、生活習慣病の発症を抑えつつ、特に高血圧をしっかりと治療することが重要です。特に血圧は冬場、環境が寒くなるほど上昇します。また、冬場特有の注意点としては部屋ごとの温度差をできるだけ小さくすることが挙げられます。トイレや風呂、脱衣所における急な温度変化によるヒートショックは、事前に脱衣所も温める、トイレにも暖房器具を設置するなどの工夫で避けることができます。是非住環境の見直し、調整も検討してください。

*最後に

脳出血を疑う場合、診療所レベルでは(どこでも)対応しきることは困難です。早急に血圧を下げながら脳外科医のいる総合病院に紹介、搬送する必要があります。意識障害や麻痺など明らかな重症サインがあれば救急要請も検討が必要です。一方そこまでではないものの気になる症状がある、という場合はまずクリニックで診察、必要に応じてCT検査や大きな病院への紹介を検討することが可能です。当院でも積極的に診療していきたい疾患の一つです。気になる症状がある場合は気軽にお問合せください。

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