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パルスオキシメーター 簡単な原理と使い方

自宅療養者の増加とともににわかに名前を聞くことが増えたパルスオキシメーター(酸素飽和度モニター、サチュレーションモニターや、血中酸素濃度計ともいいます)

指先で簡単に血液中の酸素濃度を測定することができるため、特に呼吸に問題が出る疾患(肺や心臓の病気など)ではその重症度を簡単に知ることができる重要なアイテムです。

クリニックでも2台のパルスオキシメーターが日々ひっそり稼働中です。

このように指先を挟んで数秒で体内の酸素飽和度(SpO2、サチュレーション、SATなどなど呼び名があります。)を知ることができます。

簡単に使える一方、結果の解釈は中々難しいのも事実・・

今回はパルスオキシメーターについて紹介します。

□何を測っているの?

□正しい使い方は?

□結果の解釈

□最後に

 

□何を測っているの?

上記の写真に写っている99という数字が体内の動脈血酸素飽和度を示します。単位は%です。

※酸素飽和度;動脈にMaxまで酸素が溶け込んでいれば100%、本来溶け込める半分しか酸素がなければ50%ということになります。

私たちは呼吸という運動によって肺に空気を吸い込み、肺の中で静脈血中の二酸化炭素を排出しつつ空気中の酸素を取り込みます。その酸素が行きわたった血液が栄養豊富な動脈血として体内をめぐります。よってうまく肺が機能しているかをみる=酸素がしっかり取り込めているかを見る、ために重要なのが動脈の酸素飽和度です。

パルスオキシメーター自体のメカニズムは複雑ですが、とても簡単に言えば指先に2種類のLEDライトを当て、動脈血成分の光の減衰から動脈の酸素飽和度を測ります。静脈や周囲の組織と比較して動脈だけに心臓の動きに合わせた拍動(=パルス)があることを利用したシステムです。

 

□正しい使い方は?

原理はさておき、とても有用なツールであるパルスオキシメーターですが、当然正しく使わなければ意義ある結果が得られません。以下の点を確認してください。

①指の位置:どの指でも測定は可能です!上図にあるように指先をLEDとセンサーがしっかり挟む必要があります。自宅で使うモニターは指の位置がくぼみで示されています。そこにまっすぐ指を置きます。

*特に高齢の方やリウマチなどの疾患によって手指の変形がある場合、上手く指がはまらない場合があります。その場合はできるだけしっかり装着できる指を探すか、足の指でも測定可能です。また、モニターによってはシールタイプのものもありますのでしっかり指に装着できるようにすることが重要です。

*足の指の場合、特に高齢男性など白癬(水虫・・)で爪が肥厚してしまっているとうまく測れないことがあります。

②手の安定:指先にモニターを装着し、指をぶらぶらさせているとうまく測れません。膝の上や机などに手を置いて機械自体を安定化させましょう。

③数値が出ない場合・・:特にこの時期は手が冷たすぎるとうまく測定できない場合があります。手を温めてから再度測定してみましょう。

 

□結果の解釈

さて、数字が出てきたらその値を確認しましょう。

細かい解釈はとても難しですし、そもそも酸素飽和度だけで体調変化をすべて把握できるわけではありません。(例えば酸素飽和度が正常でも血圧が低ければ緊急事態の可能性もあります!)

よって、数値に関してはあくまで参考として解釈して下さい。

SpO2 95-100% おおむね正常範囲と考えられます。

SpO2 92-94% 普段もっと高い値であるなら、少しずつ体内の酸素飽和度が下がってきているかもしれません。著しく息苦しいなどあれば酸素投与の検討が必要かもしれません。

SpO2 90%以下 通常自宅で対応しきることは困難な状態が想定されます。肺炎の悪化や痰づまりなども考えられます。医療へのアクセスが必要です。

ここで注意なのは、喫煙者やCOPDの既往がある場合、ベースの(普段の)SpO2が低い方がいる、ということです。その場合はSpO2が90%台前半でもけろっとしている方もいます。

平時のSpO2を把握しておくと変化に対応しやすくなりますね。

※著しい貧血や一酸化炭素中毒の場合、SpO2では体内の酸素化状況を適切に把握できません

 

□最後に

パルスオキシメーターは簡便に呼吸状態を把握できるとても有用なツールです。なんと日本で開発されたそうです。

現在神奈川県でも自宅療養をされる新型コロナウイルス感染症の患者さんに随時パルスオキシメーターを貸し出しています。Amazonやその他ネット通販でも手には入りますが、普段使うはずのない方は是非買い占めなどは避けてください。一方、持病のある方や高齢者の場合自宅で平時のSpO2が把握できるのはとても有用であると思われます。

まだまだ予断を許さないコロナの拡大・・社会全体で封じ込めに向け頑張って参りましょう!

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