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地震への備え ~医師の視点で伝えたいこと~

地震大国日本・・阪神大震災、311東日本大震災、熊本地震、日本に住む限り決して逃げられない自然災害が地震です。年によりばらつきも多いものの、年間1000-2000回以上の地震が日々日本を襲っています。つい最近も2021年2月13日23時8分福島県沖を震源として最大震度6強の大きな揺れを感じる地震がありました。夜ということも怖い思いをした方もたくさんいらっしゃったかと思います。

明日来るのから30年後来るのか誰にも分りませんが、南海トラフをはじめとする大規模地震の発生確率は30年で70-80%ともいわれ、常に”その日”を意識して備えをしておくことが重要になります。

自宅の耐震、防災グッズの準備、避難経路の確認、家族との連絡の取り方の確認など事前に決めておくべきことは色々ありますが、その辺りは専門の情報を収集していただくのが一番ですので、ここでは特に言及しません。一方、災害時など通常の医療へのアクセスが望めない場合の対応について、医療機関の視点としていかに紹介をします。

参考になれば幸いです。

※基本的には薬の処方や使い方の決定は医師が行うべきです。よって今回紹介するお薬も可能であれば医師・看護師の指示に基づいて内服する必要があります。ただし、緊急事態においては自己判断で内服を決めなければいけない場合もあると考え、以下に紹介しています。平時、薬を使用したい場合はクリニックや病院への受診をお願いします!

→首相官邸防災の手引き

→首相官邸 災害時の準備品

 

既往歴(今までかかった病気の名前とその治療)、現在内服している薬、アレルギー情報をわかりやすいくまとめておきましょう

→緊急の場面で上記のような情報を思い出そうと思ってもなかなか落ち着いて考えることが出来ません。わかりやすく一元的にまとめて置くことで医療スタッフがスムーズに診療に取り掛かれる可能性が高まります。また、例えば避難所でも必要な医療を受けやすくなる可能性があります。

身体まとめノートの活用はいかがでしょうか?

血圧、血糖、血液サラサラ、てんかん、睡眠の薬など”急にやめられない薬”予備の薬(5-10日分でよいと思います)を手元に残しておきましょう

→たとえばコレステロールの薬や痛風の薬は数日間中止しても何ら問題はありません。しかし、血圧を下げる薬(降圧薬)や糖尿病の血糖を下げる薬(またはインスリン)、血液サラサラの薬や不整脈の薬、睡眠薬やてんかん発作を抑える薬などは急な中止によって症状が悪化したり、離脱反応を起こすことがあります。一方これらの薬は災害時すぐに手に入らない可能性も少なくありません。

したがって、いつもきっちり飲み切ってから薬を取りに行くのではなく、少しずつ余剰を持った状態で受診、薬を受け取っておくことが望ましいと考えています。

当院の患者さんにもそのような形でお薬が手元に残るよう、余裕を持った処方を心がけています。

頭痛薬、風邪薬など常備薬として準備しておきましょう。

→自分ならこれを持っておく、というお薬の一例です。普段と環境が変わったりストレスがかかる場面を想定し、少しずつ症状に対応できる薬を持っておくのが良いと思います。

※鎮痛薬;カロナール(アセトアミノフェン)やロキソニン(ロキソプロフェン)が挙げられます。急な頭痛や腰痛の対症療法として使用できるでしょう。

※解熱剤;上記鎮痛剤と同じ薬剤を使用できます。カロナールやロキソニンは解熱鎮痛剤であり、痛みだけでなく解熱にも利用できます。

※吐き気止め;クリニックではナウゼリン(ドンペリドン)などの薬を吐き気止めとして処方することがあります。

※胃薬:急なストレスや慣れない環境、食事の変化で胃腸の調子が悪くなることが十分想定されます。一般的な胃薬としてはムコスタ(レバミピド)やガスター(ファモチジン)、その他制酸薬(ネキシウムカプセルやオメプラール、パリエットやタケプロンなどが処方されている方もいるかもしれません)が挙げられます。

※整腸剤:原因不明の下痢の場合、強い下痢止め(止痢剤)の使用は勧められませんが、やはり下痢症状はつらいもの・・整腸剤(ミヤBMやラックビー、ビオフェルミン等)はあまり副作用もなく内服できるため、持っておくと安心のお薬の一つです。

※下剤;慣れない環境、ストレスと言えば便秘です。軽度の便秘は放置しても問題ありませんが、長期化すれば腹痛など生活にも支障をきたします。下剤にはたくさんの種類がありますし、既往歴によっては飲まないほうがいい場合もありますので、個人個人での判断が重要ですが、一般的にはマグミット(酸化マグネシウム)、センノシドなどがあまり副作用がなく、調整もしやすい下剤として重宝されるかと思います。

※アレルギー薬(内服、点眼、点鼻、塗り薬):アレルギー体質の人はもちろん、普段何ら症状のない方でもストレスを契機に蕁麻疹が出現したり、慣れない環境(避難所等)でハウスダストやダニ、カビに暴露をすることでアレルギー反応が起こる可能性があります。ひどい反応であれば医師の診察や治療が必要になりますが、取り急ぎ対応したい、という場合は抗ヒスタミン剤などを持っておくと安心です。市販のレスタミンは眠気が強く出ますが、よく効きます。その他ザイザル、アレジオン、アレロック、タリオン、ビラノア、クラリチンなどがアレルギーに対応するためのお薬です。

その他、喘息の既往があればホクナリンテープ(ツロブテロールテープ)や吸入薬、片頭痛の既往がある方はそれに対応する薬(トリプタン製剤等)なども準備があれば安心です。

最後に

出来ることならどんな時でも医師の診断、判断のもと適切な診療・投薬が行われることが重要です。しかし、災害時や避難所生活ではそれが難しい場面も容易に想像されます。日本の災害対応は世界でもトップクラス(というか世界で一番だとおもっていますが・・)であり、いつまでも孤立、助けが全く来ない状況が続くという事はないかもしれません。それでも数日は自分や周囲の方と助け合って生活、厳しい場面をしのぐ必要があるかもしれません。体調不良は精神的にも被災者の方を追い詰めます。是非平時から”有事”を想定して準備をこころがけたいものです。

 

番外編

基本的にいつも元気な院長・中村ですが、先日思いもよらない頭痛に襲われました。今までにないガンガンとした頭の奥の痛みで一体何事かと焦りましたが、結果として原因はカフェインの離脱反応であったようです。毎日500㎎程度、コーヒーによるカフェイン摂取があるため、1日コーヒーを飲まなかった日の夜にひどい頭痛が起こったようです。翌朝コーヒー摂取後に頭痛は嘘のように改善しました。カフェイン依存をどうするか・・はまた早急に考える必要がありますが、一方例えば災害時のことを考えると、避難所で嗜好品であるコーヒーにありつける可能性は低く、生活がままならないほどの頭痛が生じることを考えると常備薬にカフェインの準備も必要であると考えた次第です。

カフェインやニコチンなど嗜好品への身体的依存は気が付かない間に形成されてしまいます。急にそれらが得られなくなると重度の身体症状が出現します。依存の自覚があればできる限り早急にそれを改善していくのが最重要課題ですが、それらがすぐに手に入らない状況にも準備が必要と実感した出来事でした。

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