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SYMPTOM

腰痛 ~辛さが身に沁みます~

辛さが身に沁みる・・という切実な題名にさせていただきましたが、つまりこれは私も長年腰痛に苦しめられている、ということです。

腰痛、つらいですよね。体をどう動かしても体の中心にあるためか必ず力がかかり痛くなる腰。くしゃみでも響く、立って靴下も履けないとなると通常の生活にも支障がでてきます。腰痛の多くの原因は整形外科的なもの、すなわち筋肉や骨、腱によるものですが、今回の記事では腰痛の原因を幅広く紹介し、各疾患(病気)についてはそれぞれのページで紹介をしたいと思います。

 

*腰とは?

そもそも腰痛・・腰とはどの部位をさすのでしょうか?

これは患者さんによっても、医師によってもあいまいな概念のようです。患者さんと医師に「腰とはどこですか?」と尋ねた研究がありますが、非常に幅広い範囲を“腰”“腰痛”と表現する方がいることがわかります。(→論文はこちら)

私としては大体このあたり(図の赤い範囲)を腰、と思っていますが・・皆様はいかがでしょうか?

 

*原因は?

腰痛の原因は多岐に渡ります。筋肉、骨の整形外科的な痛みから、特に骨盤内の臓器に由来する痛み(女性の場合生理痛で腰痛を訴える方も少なくありません)まで様々な原因で腰痛は発症します。主な原因を紹介します。

ぎっくり腰:いわゆる急性腰痛を指す表現で“病名”ではありません。原因は必ずしもはっきりせず、腰の関節や軟骨(椎間板)に力がかかってけがしたような状態(捻挫、椎間板損傷)、腰を支える筋肉やすじ(腱、靱帯)などの柔らかい組織(軟部組織)の損傷によると考えられています。かがんだ瞬間や重いものを持ち上げようとした時、など原因がある場合から、朝起きた時から腰痛が出ている、など明らかな誘因がない場合まであります。

圧迫骨折:転倒後に強い腰の真ん中(正中部)の痛みが持続する場合、背骨の椎体という部分の骨折が疑われます。転落事故や交通事故など極めて強い力がかかれば若者でも受傷することがありますが、圧迫骨折になってしまうのは骨粗しょう症が背景にある高齢者がほとんどです。→圧迫骨折とは?

椎間板ヘルニア:背骨の骨と骨の間にある椎間板という軟骨が脊髄(神経)のある空間に飛び出し、神経を圧迫することで起こるのが椎間板ヘルニアです。神経の圧迫があるため、その神経が走行する部分にしびれが起こります。

腰部脊柱管狭窄症:椎間板や骨の変形により脊髄の通り道が狭くなり、腰痛が出たり、歩いていると徐々に足がしびれてしまう(間欠性跛行)病態です。

化膿性脊椎炎;非常に重篤な病気です。背骨に細菌が感染し、膿だまりを作ってしまい、痛みが出現します。痛みに加え発熱など炎症に基づく症状も出現します。早急に抗生物質で細菌を叩いたり、手術によって膿を取り除く必要があります。

尿路結石:意外な腰痛の原因に尿管結石があります。突然の強い右または左の腰背部痛で発症することがあり、その痛がり方に医者が焦るほどです。尿管結石の場合、石が移動するため痛みが移動したり、尿管の蠕動運動に合わせて痛みに波があったり、石が膀胱まで到達すれば嘘のように痛みが消えてしまうのが特徴です。

大動脈解離;緊急性の高い重篤な疾患です。大動脈という心臓から出た太い血管は胸部、腹部を経て体の隅々に血液を運びます。この太い動脈の壁が裂けてしまうのが大動脈解離と呼ばれる病態です。時に心臓血管外科医師の手による手術が必要になったり、厳重な血圧管理が必要になるため、疑う場合は早急に総合病院等の受診が必要になります。

(女性)子宮筋腫・子宮内膜症;子宮の神経は腰椎周囲の神経叢(神経が集合する場所)に集まるため、生理痛や子宮筋腫に伴う痛み、子宮内膜症に伴う痛みは腰痛として認識される場合があります。不正出血など、腰痛以外の症状に注目する必要があります。

 

*何科にかかるのが良い?

上記のように腰痛の原因は多岐に渡ります。したがって腰痛がどのように発症してきたか、その他の症状はあるか、などによってかかるべき科も変わってきます。

急激な発症、今まで経験したことのない痛み→救急科の受診も検討が必要です

身体を動かすと痛みが悪化する→骨や筋肉による痛みの可能性が高いため整形外科の受診を検討してください

熱がある、その他の症状が不随している→何らかの炎症性疾患も疑うため、かかりつけの内科で相談を検討してください。尿路結石も最初の対応は内科で可能です。内科から必要性を判断し、泌尿器科や産婦人科に紹介をすることも可能です。

 

まとめ

非常につらい腰痛、あるStudyによれば腰痛の有病率は40%近いともいわれ、まさに日本人の国民病であることがわかります。原因として多いのはやはり整形外科的な骨や筋に由来する痛みですが、時に重大な疾患が腰痛として現れてくることがあるのも事実です。生活にも支障が出やすい腰痛、是非放置せず原因を調べたり適切な治療が受けられるよう、各科への受診を検討してください。当院では鍼灸マッサージによる介入も可能なため、幅広く腰痛も診療を行っております。気軽にお問合せください。

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