045-264-6590
CLOSE

SYMPTOM

高体温 体温が上昇するのは発熱だけではありません

夏本場、救急搬送される熱中症患者さんが激増しています。クリニックにも熱疲労、夏バテと思われる患者さんがたくさん訪れるようになっています。

熱中症、今やこの言葉を知らない人はいないと思いますが、体温が高く、ぐったりしている→感染による発熱と見分けがつかない、という問題があります。

今日は高体温と発熱の違いについて見ていきたいと思います。

熱中症の解説はこちら

 

*体温調節?

恒温動物である人の体はおおむね一定の温度を保っています。その細かい解説は今回は省略しますが、それを達成するためには体で作られる熱(熱生産)と排出される熱(熱放散)のバランスを細かく調整する必要があります。調整役を担うのが脳の視床下部という部分にある体温の調節中枢です。その中枢ではこの体温が適切!という値をセットポイントという形で決めています。

(つまりセットポイントがおおむね36度台になっているため、多くの人の平熱がこのあたりになるということです。)

身体は調節中枢のセットポイント温度に体温を調整するため、必要に応じて筋肉を収縮させて熱をさせたり(熱産生)、逆に皮膚の血管を開いて熱を逃がしたり(熱放散)します。

*発熱と高体温の違いは?

では発熱と高体温は何が違うのでしょうか。その違いはセットポイントが変化しているか、です。

つまり、体温調節中枢のセットポイント温度が上がり→体が熱産生を上げて体温があがるのは発熱

体温調節中枢のセットポイントは変わらず、熱産生と熱放散のバランスが崩れ、熱が体内にたまって体温が上がるのが高体温です。

もう少し細かく見てみましょう。感染症などがあると体の細胞(白血球や血管の壁の細胞など)からセットポイントを上げる物質が放出されます。それによって体温調節中枢のセットポイントが例えば38度まで上がったとしましょう。すると体はまだ平熱、36度台であるため、実際の体温と脳が想定している体温に2度の差が生じることになります。すると体はいろいろな方法で体温を上げようとします。熱産生を増やすため、筋肉を収縮させればふるえ(戦慄(せんりつ))が起こります。手足から熱が逃げないように血管を収縮させれば手足は冷たくなります。熱が上がる過程では、体の想定温度より実際の体温が低いため、悪寒すなわち寒気を感じてしまうのです。

高体温の原因もいろいろありますが(ホルモンバランスの乱れで熱産生が増加してしまう等も高体温の原因になります)やはり夏場に問題になるのは環境温度が高すぎることにより、熱産生と熱放散のバランスが崩れ、体内に熱がたまり(うつ熱)体温が上昇する状態です。周囲の環境温度が高くなると、体は懸命に熱放散を増やすため、汗をかいたり、手足の血管を広げて熱を逃がそうとします。しかし、その熱放散の能力にも限界があります。熱放散の能力を超えた暑さにさらされれば、徐々に体温が上昇、熱中症に至ってしまいます。

*見分け方は?

こんなにメカニズムが異なれば簡単に見わけもつきそうなものですが、実は発熱と高体温はなかなかすぐには見分けがつきません。特に重度の感染症でも重度の熱中症でも体温が高い状態+意識の障害があれば、本人からそこにいたるまでの過程を聞き出せないため、実は数日前から体調が悪かったのか、水分も取らず暑い環境に身を置いてしまったのか、判断することは非常に難しくなります。自宅でもなんとなくだるい→熱を測ると37.5度を超えている・・となれば何かの感染症なのか熱中症のなりかけのような状態なのか、判断は難しいと思われます。とくに倦怠感や頭痛、吐き気はどちらでも出現しうる症状です。したがって、心配な場合は早めにかかりつけ医に相談していただくのが良いかと思います。血液検査や胸のレントゲンなどの検査で簡単に判断できる場合もありますし、体を冷やしたり点滴処置を行うことで症状が緩和され、診断がつく場合もあります。

*最後に

コロナウイル感染の拡大もあり、毎日体温を測る人も多くなっています。体温は朝低め、夜高め、という日内変動もありますし、そもそも個人によって平熱も異なります。普段より体温が高い場合、感染症の初期なのか、高体温になりつつあるのか、心配になることも多いと思います。不安な症状がある場合は、近くのかかりつけの医師に相談していただくのがスムーズです。当院でも発熱、高体温ともに積極的に診療を行っています。気軽にご相談ください。

ページトップへ