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SYMPTOM

夏バテ ~暑さに負けていませんか?~

はっきりとした記憶ではありませんが、自分が小学生くらいの頃、30度を超えると「あっついなぁ!」となり、35℃なんてほとんど超えることはなかったように思います。

しかし、最近は日中35度以上になることも全く珍しくなくなってしまいました。夏がどんどん熱くなっていっている気がします。

こうなると夏場に体調を崩すのはもはや仕方ない気もしてきます。「夏バテ」を疑う症状の方がたくさん来院されるようになってきました。

そこで今日は「夏バテ」について紹介します。

夏バテとは?

実は医学的に夏バテという病気はありません。屋外の暑さ、屋内のエアコンによる寒さ、冷たい食べ物・飲み物の摂取、睡眠不足、様々な要因が重なって主に自律神経機能や胃腸機能が低下して起こる症状をまとめて「夏バテ」と呼んでいます。

症状は?

夏バテの名称通り、ばてた状態、全身の倦怠感や疲れを訴える患者さんが多くなります。また、胃腸機能の低下に伴い、食欲不振や吐き気を訴える方も多いです。

従って主な症状としては

□全身倦怠感、疲れやすさ(易疲労性)

□食欲不振   が挙げられます。他にも、

・下痢・便秘・胃痛など胃腸の具合が悪くなる
・頭痛がする
・微熱がある
・立ちくらみ・めまい・ふらつき・吐き気を感じる
・日中に過度に眠くなる
・全身がだるく、無気力気味になる
・思考力が低下気味で、ミスが多くなる などが挙げられます。

原因は?

ひとえに「自律神経の乱れ」が原因と言えます。体を動かす運動神経、触覚などの感覚を伝える感覚神経と違い、自律神経は体温調整や血圧・脈拍の調整、消化機能、排便・排尿などの排泄機能をつかさどる神経です。屋外の暑熱環境と屋内の涼しい・寒い環境に交互に身を置くと体はめまぐるしく体温調整を行う必要が出てしまいます。その調整機能を使いすぎることで自律神経の乱れを引き起こし、様々な症状を起こすことになります。そこにさらに食欲不振による栄養・水分不足や睡眠不足が重なることで体調がどんどん悪くなり、悪循環となってしまい、夏バテをきたすことになります。

治療・予防は?

できるだけ自律神経を乱すような生活を避けることが必要です。具体的にはエアコンの設定温度を下げすぎない、十分な食事・睡眠を確保するなど日々の生活の中で注意できることがたくさんあります。

①エアコンの設定温度:28℃が推奨されています。少し暑いと感じる温度設定ですが、できるだけ屋外との気温差をなくすためです。生活スタイルによっても設定温度はさまざまであると思いますが、一つの目安としてください。

②食事・水分を十分に摂取する:ついつい口当たりのよい素麺など食べやすいものばかり摂取しがちになるこの時期ですが、やはり肉・魚などのたんぱく質や緑黄色野菜などのビタミンも十分に摂取する必要があります。また、冷たい飲み物もあまりお勧めしていません。アイスコーヒーも氷なしにするなど、体の内側から冷やすような生活は避けることが推奨されます。

③睡眠時間を確保する:寝苦しい熱帯夜が続いていますが、睡眠環境を整え、十分な睡眠時間を確保することも非常に重要です。

その他

クリニックでは夏バテを疑う患者さんに積極的に漢方も処方しています。各患者さんにあった処方が必要なため、一概には言えませんが、清暑益気湯や補中益気湯などの元気を出す漢方や六君子湯などの胃腸機能を改善する漢方を利用することが多くあります。

最後に

とにかく暑すぎる日々、特に今年は4月以降に自粛であまり外に出ておらず、暑熱環境に慣れる環境が作りづらかった方もたくさんいらっしゃると思います。その場合、この暑さはさらに体調に変化をきたしやすくなります。冷房の設定温度を調整したり、食事・睡眠に今まで以上に気を配っていただき、できるだけ夏バテにならないようにしたいものです。それでも倦怠感や胃腸の不調があれば気軽にクリニックでもご相談ください。

番外編☆

本当に日本の夏は暑くなっているか?ということで調べてみました。東洋経済の記事に一目瞭然、わかりやすい図が載っていたため紹介します。

こちらのヒートマップ、夏期(6月から9月)の東京における過去140年間の日別平均気温を色別で表したもの。横軸は月、縦軸は年(1876年から2018年)を示していますが、明らかに近年、すなわち下の段がどんどん赤くなっています。(→記事はこちら)暑いなぁという体感、決して勘違いではなさそうです!

 

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