045-264-6590
CLOSE

DISEASE_NAME

胃炎 ~胃痛、吐き気の原因となります~

胃痛なんてあるの?と思っていた若かりしころ・・年を経て初めて胃痛を感じた時「これは何事か、大きな病気に違いない、なぜこんなに嘔気がひどいのだ」と愕然としました。自前で吐き気止めなどを飲んでみても治らない・・・。結局心配がすぎて人生初胃カメラまで受け、自力で治癒したピロリ菌感染を疑う胃炎があったものの、ピロリ菌も検出されないしそろそろ治るでしょう、という診断でした。(ただの胃炎・・・)このエピソードを経て、胃炎に伴う胃痛、嘔気の辛さがよりわかるようになりました。

胃痛、多くの場合“大したことない”疾患とされますが、生活への支障、不快感は大きいものです。

今回は胃炎についてご紹介します。

 

胃炎とは

胃が痛む原因

症状は?

診断は?

治療は?

予防は?

最後に

 

 

胃炎とは

胃炎、胃の炎症という意味そのままの病名です。胃の内側にある粘膜面に炎症を起こす病気を総称して胃炎、と呼びますが、原因はストレス、暴飲暴食、感染症、薬の副作用、免疫の異常など多岐にわたります。

胃炎は、その経過から“急性胃炎”と“慢性胃炎”という2つのタイプに分けられます。急性胃炎はその名のとおり、胃の粘膜に急激な炎症が生じ、その炎症が強い場合に痛みや吐き気、むかつき、嘔吐などの症状を引き起こします。一方、慢性胃炎は主にはピロリ菌の感染によって胃の粘膜に慢性的な炎症が生じ、結果として粘膜の萎縮や胃の不快感、吐き気などの症状を長期的に起こす胃炎です。

 

胃が痛む原因

胃は元々胃酸と言う非常に強い酸に曝露し続けても問題がないように、丈夫な構造をしています。

ところが、ストレス、暴飲暴食、感染、薬の副作用により胃酸の分泌量が増えたり、胃の粘膜の防御力が低下したりすると、結果として胃の粘膜がダメージを受け、炎症を起こします。

これが急激に起こるため急性胃炎を発症します。

また、強い酸性のため多くの最近は胃の中で生存できませんが、ピロリ菌は胃酸を中和する環境を作って胃の中に住み続けるという特異な性質があります。このピロリ菌による炎症が慢性的に起こると胃の粘膜が徐々に萎縮することもあります。

これらの胃の粘膜のダメージによりみぞおちの痛みや不快感に繋がります。

 

□症状は?

胃炎の症状は

胃痛、みぞおちの違和感、不快感、吐き気が主です。

更に悪化して胃潰瘍になるとより強い痛み、潰瘍からの出血による吐血や黒色便につながることもあります。

 

診断は?

基本的には症状から胃炎を疑い、胃薬を出し経過を見る場合が多く、

すぐにCT検査や内視鏡検査を行うことはほとんどありません。(吐血、黒色便、下血があれば別です)

確定診断に確実なのは胃の内視鏡検査ですが、侵襲性も高いため、通常数日の内服で治る胃炎には不要な検査と言えます。一方、胃炎を繰り返したり、体重減少などその他の症状がある場合には、ピロリ菌感染の有無を調べたり胃がんの可能性を精密に調べるため胃の内視鏡検査は必須となってきます。

 

治療は?

暴飲暴食、ストレスが原因の場合はこれらの“胃に悪い刺激”を避けることが重要です。また、胃の防御力を低下させるような薬(代表的なものとしてロキソニン等の解熱鎮痛剤があります)も可能なら中止または別の薬に変更が必要です。

胃炎は軽症の場合未治療でも1~3日で軽快してしまうこともあります。一方で症状が重かったり、少し長引いたりする場合は胃酸を抑える薬や吐き気止めを使います。ピロリ菌が検出された場合は除菌のために抗生剤等も必要になることがあります。

 

よく使う薬

〇PPI(ピーピーアイ)

強力な胃酸の分泌抑制剤です。~プラゾールという成分名になります

〇H2ブロッカー

ガスターなど。PPIより効果はマイルドですが胃酸を分泌を抑えます
〇胃の粘膜保護剤

レバミピド(ムコスタ)、アルロイドG内用液などは胃の粘膜面を覆って保護する作用があります。

〇吐き気止め

プリンペラン、ナウゼリンなど一般的な吐き気止めを使います

 

予防は?

胃炎はなってしまえば胃痛や吐き気が続き、生活にも支障が出うるため、できるだけ胃炎にならないようにすることが重要です。

・食べすぎ、飲み過ぎに注意する

・胃の防御力を落とすような薬は漫然と長期間飲まない

・ストレス軽減を目指す

・もしピロリ菌の存在が指摘されたら早めに除菌する

 

最後に

軽症疾患と思われがちな胃炎といえども、ピロリ菌の慢性的な感染で萎縮性胃炎になってしまうと、これは胃がんのリスクになる、ということが知られています。胃の粘膜が異常な上皮に置き換わり、あたかも腸管の細胞のように変化してしまうこともあります。

暴飲暴食、ストレス過多は日々の生活で軽減することが出来る胃炎の要因です。まずは胃をいたわる生活を心がけることが重要です。そしてもしそれでも胃炎症状が改善しなかったり、繰り返す場合は適切なタイミングで胃の内視鏡検査を受け、ピロリ菌の有無を調べたり、他の胃炎の原因がないか(免疫の異常で胃炎が起こることもあります)を調べ、原因そのものに対処することが重要です。

胃炎症状がある場合は内科、消化器内科の受診を検討して下さい。

 

ページトップへ