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咳喘息 長引く乾いた咳が特徴です

長引く(医学的には8週間~)咳の原因として重要かつよくある疾患に「咳喘息」があります。軽い風邪やインフルエンザ、COVID19のような呼吸器感染症後におこり、頑固な咳が続くため生活にも支障が出ます。一般的な“咳止め”の薬は効果が乏しく、喘息につかうような吸入薬が効くため、放置せずに受診が必要な疾患です。

今回は咳喘息について紹介します。

咳喘息とは?

原因は?

症状とは?

診断は?

治療は?

最後に

 

咳喘息とは?

咳喘息は、慢性咳嗽(まんせいがいそう)の原因の一つで、かぜなどを引いた後に(通常は)痰を伴わない乾いた咳だけが8週間以上続く病気です。(→咳についてはこちら

咳だけ、というのが重要で発熱やひどい痰、喀血などを伴う場合は肺炎、結核、肺癌など他の疾患を考える必要があります。

ただし、8週間=2か月も咳が続いてから来院する方は少ないため、通常は特に夜になると悪化する乾いた咳が1週間以上続く、という主訴で受診する患者さんが多いです。

放置すると成人でも3-4割が気管支喘息に移行してしまうともいわれるため、早めの対処で咳をコントロールすることが重要です。

原因は?

主な原因は、感冒や花粉症などが誘因となって空気の通り道である気管の表面の粘膜が過敏になった状態が続き→乾燥・温度差・たばこ・運動・飲酒などが引き金となって咳が引き起こされると考えられています。

いわゆる慢性的に気道に炎症が起こり、一時的に気管が狭くなり発作的に咳が出てしまう気管支喘息と異なるため、いわゆる喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)を伴うことはないのが特徴です。

 

症状は?

長引く乾いた咳、が症状です。特に夜間、明け方などに悪化することも多く、咳がひどくて眠れない、と来院される方が非常に多い印象です。また、メジコンやアストミン、アスベリンなど風邪で処方されるような“咳止め”のお薬が効かないのも特徴です。

以下のような症状がある場合は咳喘息の可能性がありますので、早めの受診をお勧めします。

 

・1~2週間以上咳が続く

・かぜや花粉症の時に咳が続く出始め→咳だけ残る

・毎年決まった季節になると咳が続く

・温度変化やたばこの煙、飲酒、会話、運動をきっかけに咳がで始める

・夜になると咳がひどくなり眠れないほど

・ヒューヒュー、ゼーゼーなど呼吸音の異常はともなわない

※伴う場合は気管支喘息の可能性もあり、やはり受診は必要です!

・小児喘息の既往がある

 

診断は?

経過、症状から咳喘息を疑うことは難しくはありませんが、一方で長引く乾いた咳が続く場合、他にも胃食道逆流(胃酸の逆流で粘膜が刺激され咳が出る)、アトピー性咳嗽、など他の原因とかっちり見分けるのは難しいのが事実です。

軽微な風邪、花粉症などを契機に咳が2週間以上続く場合は咳喘息として治療を開始してしまい、それで効果が見られた時点で“咳喘息”と確定する診断的治療(先に治療をして、聞いたら診断を確定する!)もしばしば行われます。

また、基本的に咳喘息では胸部レントゲン、血液検査で異常がでないことが特徴であり、肺炎など他の疾患の可能性を除外するためにこれらの検査を追加することもあります。

 

治療は?

咳止めなど一般的な内服の治療薬では効果がなく、治療には気管の炎症を抑えるための吸入ステロイド薬や気管支を 広げる気管支拡張薬が必要となります。(喘息でも使う吸入薬です 色々な種類があります)

咳喘息は風邪などをきっかけに発症することがほとんどのため、そもそも受診が遅れたり、風邪の咳に準じた薬だけが処方され、適切な治療が行われないことも少なくありません。しかし、適切な治療を受けない状態で咳が長く続いてしまうと治りにくくなり、気管支喘息に移行するケースもあるため注意が必要です。

最後に

長引く煩わしい咳!吸入薬の使用で劇的に楽になったと感謝していただくことも多いので、医師としても適切に患者さんの症状を見極めなければ、と咳患者さんが来院された時は緊張感を持ってお話を聞いています。咳は1回あたり1-2Kcalを消費するため長引く咳は体力の消耗にもつながります。また前述のとおり、咳喘息は時に気管支喘息に進んでしまうため、咳の放置はおすすめできません。

長引く咳がある場合、是非気軽に内科、呼吸器内科の受診を検討してください。

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