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インフルエンザ ~解熱剤の使用について~

例年より早く流行が始まっているインフルエンザですが、当院でもすでに数名の患者さんが発生しています。

普通の免疫力をもった成人であればひどい風邪、程度の症状で済むことも多いインフルエンザですが、一部の患者さんでは脳症や肺炎の合併により命を落とすこともあるのが怖いところです。

さて、インフルエンザといえば発熱、時に成人でも39度を超える発熱を来しますが、非常に体力を消耗させる症状の一つです。

もちろん高熱でも患者さん本人があまりつらくない、活気もある、という場合にはあえて解熱剤を使用して熱を下げる必要はありません。

しばしばいわれますが、発熱も身体の大切な防御反応の一つ、ウイルスや細菌と戦うためにあえて体温が上がるのが発熱であるためです。

しかし、1℃の体温上昇で基礎代謝(=生きているだけで消費するエネルギー)は12-13%上昇するともいわれていおり、体力の消耗につながってしまうこともあります。

その場合、解熱剤を使用して熱を下げるのは決して間違った対応ではありません。

しかし!!インフルエンザの場合、徒に市販の解熱剤は飲まない方が良いです

日本でよく使われる解熱剤は大きく NSAIDs とアセトアミノフェン に分けることができます。

NSAIDsはロキソプロフェンやジクロフェナク、イブプロフェンなどの総称で、解熱鎮痛剤として非常に幅広く利用されています。

アセトアミノフェンはカロナールやピリナジン、アンヒバなどの名前で呼ばれる薬です。小児でもしばしば使われる解熱鎮痛剤です。

このうち、解熱剤として使用した場合、インフルエンザの中でも重篤な脳症(脳が腫れる、むくむことが原因ともいわれ、意識障害、痙攣などを来し、致死的経過をたどることも多い怖い病態です)の重症化とNSAIDsタイプ(調査ではジクロフェナク)の解熱鎮痛剤の使用の関連性が否定できない、と言われています。

直接的なメカニズムが証明されているわけではありませんが、統計的にジクロフェナク(ボルタレンなど)の使用と脳症の重症化が否定できないと言われているのです。

→厚生労働省HPより

*ジクロフェナクを使用すると脳症になりやすい、という事を示した調査ではありません!しかし、インフルエンザに罹れば一定の割合で脳炎・脳症に至ってしまう可能性があります。

そしてその脳炎や脳症の経過を悪化させる可能性があるのがジクロフェナクということです。

したがって、基本的にインフルエンザの患者さんの解熱剤はアセトアミノフェンが安心といえます。

市販の風邪薬にはしばしばNSAIDsが含まれます。

インフルエンザの患者さんがNSAIDsを内服したからと言って直ちに脳症になったり、その脳症が重症化するわけではありませんが、やはり避けておくのが無難です。

インフルエンザを疑う高熱、節々の痛みなどがあればまずは感染を確認する目的でも一度クリニックや病院を受診していただくのが良いでしょう。

また、意識障害や痙攣など、重篤な症状を呈する場合には直ちに総合病院での処置が必要になることもあります。

これからの季節どんどん増えるインフルエンザ、是非注意して生活していただければと思います。

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