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ぎっくり腰(急性腰痛症)
急激に起こる腰痛の中でも骨折(腰椎圧迫骨折)や椎間板ヘルニアなど明らかな原因がないものを急性腰痛症と総称します。これがいわゆる“ぎっくり腰”です。
重いものを持ったり、不意に体をひねったりしたときに起こり、かなり痛みが強いものの、CTやレントゲン血液検査などでは異常は見つからず、腰の関節や周囲の筋肉、腱(いわゆるスジ)に原因があると言われています。
基本的に鎮痛と適度の安静で自然に治っていくのを待つしかありませんが、数日は立ったり座ったり寝っ転がったり、という日常動作でも痛みが強く生活に支障が出てしまいます。
今回はぎっくり腰(急性腰痛症)についてご紹介します。
□原因は?
□症状は?
□診断は?
□治療は?
□予防は?
□最後に
ぎっくり腰、言い得て妙なネーミングであると思います。突然起こる強い腰痛で医学的には急性腰痛症(面白味なし・・)と呼ばれます。他の腰痛の原因としては腰椎椎間板ヘルニア、腰椎圧迫骨折などがありますが、このような明確な原因が特定されず、腰痛が起こった状態が急性腰痛症、ぎっくり腰です。
ぎっくり腰は元々「びっくり腰」と呼ばれていたものが徐々に「ぎっくり」に変わっていった、とも言われますが、「びっくり」より「ぎっくり」の方がしっくりくるので不思議です。
英語では「Witch’s Shot」=魔女の一撃、と呼ばれます。その突然さ、痛みの強さ、切実さが上手く表現されています。
ぎっくり腰と一言で言っても、痛みを生じている部位は様々であると言われています。腰の関節のずれ、椎間板という腰椎の軟骨の損傷、腰を支える筋肉や腱、靱帯の損傷などが原因として多いと考えられていますが、特定は困難です。これらの損傷の原因になるのが、老化、姿勢の悪さ、重量物の運搬や身体をひねる運動等で無理な力がかかることです。
ぎっくり腰自体は命に関わったり麻痺を来すような重篤な疾患ではありませんが、突然の腰痛を起こしうる他の病気として腰椎椎間板ヘルニア、脊椎分離症、すべり症、腰部脊柱管狭窄症、圧迫骨折や癌が骨に転移して弱くなることによる病的骨折、感染症による椎骨や椎間板の炎症などもあります。これらは早急な対応が必要な場合もありますので、急な腰痛もイコールぎっくり腰!と自己判断せず専門家の診断を受けることが重要です。(整形外科がメインの科ですが、取り急ぎの鎮痛目的に内科受診される方もいらっしゃいます)→腰痛について
とにかく突然ものすごい腰が痛くなります。腰は身体の中心部にありどう身体を動かしても連動して動いてしまうため、前かがみになったり、後ろに身体を反らせたり、上体をひねったり、ありとあらゆる動きで痛みが出現してしまい、生活に支障が生じます。
痛みが強いと臀部(尻)や足まで痛みが放散したり、痺れ感を訴える方もいます。
典型的なぎっくり腰に関してはエピソードから疑うことは容易です。
腰椎のレントゲン検査は簡単に実施でき、骨そのものの状態を評価できるため有用です。
ぎっくり腰“以外”の疾患を疑うような症状(強い下肢の痺れ、発熱、排尿排便障害など)がある場合はむしろそれらを疑って、血液検査やCT, MRI検査が必要になる場合もあります。
ぎっくり腰の場合は血液検査やレントゲン等画像検査で異常は見られません。
鎮痛と安静で痛みが改善してくるのを待つしかありません。
但し、安静にしすぎると(ずっと寝ている等)はむしろ改善を遅らせてしまうため、痛みの範囲で日常動作レベルの動きはしていくことも重要とされています。
痛み止めは
・内服薬:アセトアミノフェンやロキソプロフェンなど一般的な鎮痛剤
・座薬:ジクロフェナク坐剤 等
・貼付薬:いわゆる湿布など(モーラステープ、ロキソプロフェンNaパップ等)
などを駆使して鎮痛を図ります。座薬は鎮痛したい部分に近く即効性もあり、クリニックではよく使っています。
その他、鍼灸指圧マッサージなどの東洋医学的アプローチもぎっくり腰に効果があり、実際、発症早期に鍼灸治療を受けて頂くことで痛みからの回復が速いことは現場でも実感しています。
やはり日々の生活でぎっくり腰になりうる姿勢、無理な動きを避けることが重要です。
ナッケムソン先生という整形外科の医師がまっすぐ立った時の腰にかかる負担を100として、各姿勢でどの程度腰に負担がかかるかを数値化して示しています。
重いものを持つ場合も腰だけを曲げて持ち上げるのではなく、しっかり膝を曲げて下肢の力を使って持ち上げる方が腰への負担が下がります。
上体だけをひねる動きも腰には大敵です。振り返る場合は身体の向き全体を変えるなど、リスクのある動きは避けましょう。
他にも日々のストレッチで筋肉、腱の柔軟性を保つこと、筋力を維持すること、も腰痛予防として重要です。
腰痛・・自分も慢性的な腰痛持ちで「腰が痛い」が口癖のようになっていました。実際中学生の時に運動中に椎間板ヘルニアになったことがあり、それ以降特に疲れた時に腰痛や左足に痺れ感が出ることは“持病”として諦めていました。ところが、ひょんなことから筋トレをはじめた所、その腰痛がすっかりなくなり、しばしばあった「これ以上動かしたらぎっくり腰になりそう!!ゆっくり姿勢を戻そう!」という危険な状況も起こらなくなりました。急な運動や自身に合わない高負荷の運動はむしろ怪我のリスクとなりますが、適切な筋トレによる腰部、臀部、背部の筋力をつけることは腰痛対策、ぎっくり腰予防にも非常に重要だと実感しています。
運動方法については今後紹介もしたいと思っています!