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【新型コロナウイルス抗体検査Q&A】

Q 抗体検査では何をしらべるのでしょうか?

→今回の抗体検査では血液中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するIgM、IgG、2種類の抗体を調べます。それぞれ陽性、陰性で結果が出ます。あくまで抗体の有無を調べる検査であるため(定性的検査)、どのくらいの量の抗体があるか(定量的検査)はわかりません。

Q 検査方法は?

指先又は通常の採血を行います。キットを用いた検査であり、結果は15分ほどで判定が可能です。

 

Q 抗体とはなんですか?

→体内に病原体(細菌やウイルスなど)が侵入した場合、その病原体を排除するために白血球の一つであるリンパ球が産生するたんぱく質が抗体です。 抗体には5種類があり、外敵の病原体に対しては主にIgMとIgGが働きます。

Q IgMとIgGはどのような違いがありますか?

→詳細は成書に譲りますが、おおまかな理解としては、

IgMは主に初めて出会った病原体に最初に対応する抗体、IgGはIgMの次に上昇し、より強力に病原体排除に働く抗体です。体内に一番多く存在するのがIgGです。

たとえばワクチン(インフルエンザワクチンやはしか、水ぼうそうのワクチンが有名です)では体内に病原体やその欠片を入れて、最終的にIgGを作る細胞を準備するのが目的です。このIgGが一定以上血中にある状態を、「抗体がある」「免疫がある」と呼んでいます。

Q抗体があれば感染症にかかりませんか?

→抗体があると、一般的にそのターゲットの感染症にはかかりづらくなります。それを目的にワクチンがあるわけです。ただし、インフルエンザワクチンを受けてもインフルエンザになってしまうこともあるように、完全な防御になるわけではありません。

抗体はその感染症にかかりづらくする、またはかかっても重症化しづらくするという風に理解をしてください。決して“完全な予防”ではありません。

また、IgG抗体を作る細胞がどの程度体内に残るかもターゲットによって異なります。

毎年ワクチン接種が必要なインフルエンザの“免疫”は数か月~5か月程度持続するといわれています。一方で、はしかや水ぼうそうなどは一般的には終生免疫、と言ってかなり長期間免疫がある状態が持続することが知られています。

現状、軽症者や無症状感染者も多く、風邪に似た経過を示す事を考慮すると、一般的な風邪やインフルエンザウイルスなどと同様に、数カ月程度は抗体のある状態が持続するのではないかと考えています。

Q結果の解釈を教えてください

→IgM、IgG、種類の抗体にそれぞれ陽性、陰性がありますので、結果は4パターン考えられます。それぞれのパターンについて解説をします。

IgM IgG 解釈
(-) (-) 感染したことがない

または感染後まだ抗体が産生されていない

一度感染したが抗体が作られなくなった

(+) (-) 最近感染し、まだIgMしか作られていない(感染初期)

→症状があれば、コロナウイルス感染症の状態かもしれない

(+) (+) 感染し、しばらく時間がたっており、両方の抗体が陽性になっている(感染中期~)
(-) (+) 感染後しばらく時間がたっており、IgGのみ陽性になっている

→免疫がある、抗体がある状態

※IgM抗体が陽性の場合、最近の感染が疑われますが、はっきりとした感染時期はわかりません。また、症状があり、IgM抗体陽性の場合は、コロナウイルス感染症患者としての対応が必要になる場合があります。

 

Q 抗体が陽性なら社会活動を再開してよいですか?

→先述のとおり、抗体が陽性でもコロナウイルス感染が100%起こらないわけではありません。したがって、この抗体検査の結果をどのように実生活で生かしてゆくべきかはまだまだ知見の積み重ねが必要です。ただし、IgM(-)、IgG(+)であれば、ある程度免疫がついた状態が想定できますので、社会活動の再開判断の一助にはなるでしょう。

実際病院では、例えばはしかの患者さんに対応するのは、抗体検査ではしかへの免疫が確認された人、としていることも多いです。これはやはり抗体があれば、その疾患にかかりづらいことが確認されているための措置と言えます。

また疫学的データとして本当の有病率、罹患率を知ることも非常に重要です。日々公表される罹患者数はあくまでPCRでコロナウイルスが検出された患者数であり、そもそも検査に進んでいない人が多い現状で、致死率などは論じること自体無理があります。先日アメリカ、ニューヨーク州でも3000人の住民を検査したところ14%に抗体が検出された、というニュースがありました。単純計算でよいかはわかりませんが、公式発表の数倍の患者が特に医療にかかるほどの症状もなくコロナウイルスに感染していた可能性が示唆されるわけです。分母が数倍になれば、致死率は数分の一になりますので、”正しく怖がる”ためにもそのような疫学データを確認していくことは非常に重要です。

 

Q この検査は研究目的ですか?

→そうです。あくまで研究用のキットを使って希望者の方に自費の検査を行うのがこの抗体検査です。今後このような検査の結果をまとめ、研究することでコロナウイルス感染症の疫学的データ(罹患率、有病率、重症化率などのデータ)が蓄積されていくことが期待されます。

 

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