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花粉だけではない・・黄砂とPM2.5対策

花粉症の季節まっさかりの今、外来にも抗アレルギー薬を求めて来院される方もどんどん増えている印象です。昨年(2020年)より症状が重い!とおっしゃる方が多いのも特徴です。

この時期、花粉のみならず様々な物質が空気中に漂い、アレルギー反応を助長してしまいます。

その中でも有名なのが黄砂PM2.5・・・特に黄砂は過去10年で最大量が飛散しているという話もあり、3月20日ころには関東にも少なくない量が飛来するようです。

黄砂、PM2.5について紹介します。

黄砂とは?

黄砂とは中国大陸内陸部にあるタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原などの乾燥・半乾燥地域で、風によって数千メートルの高度にまで巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛来し、大気中に浮遊する現象を指します。季節の風に乗ってやってくる黄砂ですが、年々その量が増えているとも指摘されており、ただの自然現象ではなく、森林伐採や地球環境の変化を受けた環境被害の側面が出てきている現象です。

黄砂の粒子はそのサイズに幅がありますが、当然大きいものが早めに中国や韓国で沈降しますので、日本にはおおむね4μm程度(スギ花粉は20-30μ)のものが多く飛来するといわれます。構成物質は石英や長石などの造岩鉱物や、雲母、カオリナイト、緑泥石などの粘土鉱物など自然由来のものが多い一方、土壌起源ではなく工業排出物と考えられるアンモニウムイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなども検出されています。すなわち、砂漠の砂(粒子)が大気を漂う中で人為起源の大気汚染物質を取り込んで日本まで飛来していると考えられています。

PM2.5とは?

PM2.5、今やすっかりおなじみになったワードですが、じつは『PM2.5』という物質が存在するわけではありません。粒子の大きさが2.5μm以下の粒子(微小粒子状物質)を成分は問わずまとめてPM2.5と称しています。PM=Particulate Matterの略です。一番身近なPM2.5は実はたばこの煙・・粒子というより気体といった印象ですね。

このPM2.5ですが、構成要素としては炭素、硝酸塩や硫酸塩、アンモニウム塩などが含まれているといわれています。これらは火山や焼却炉で物質が燃焼してできたり(一次生成粒子)や排気ガスが大気中で化学反応を起こして発生したりします(二次生成粒子)。

昨年(2020年)は新型コロナウイルス感染の拡大を受け世界的に工業活動や自動車の往来が低下したため、PM2.5は減っていたといわれます。しかし、今年(2021年)は既に工業活動も再開されており、PM2.5も再度増加することが懸念されます。

PM2.5は黄砂に付着しても飛来します。黄砂が増える=PM2.5も増える、ということですね。

その健康被害は?

さて、黄砂やPM2.5、だた飛来するだけなら車のボンネットが黄色くなる程度で済みますが、様々な健康被害が示唆されているのが問題点です。

先ほども記載しましたが、黄砂やPM2.5は非常に粒子が小さいのが特徴です。我々を苦しめるスギ花粉は20-30μmであり、基本的に肺の奥までは到達しません。鼻やのど、目の粘膜にくっつくため、くしゃみやのどの痒み、目のかゆみや充血を起こすわけです。

一方、黄砂(4μm程度)、PM2.5(2.5μm以下)はスギ花粉より5~10分の1程度のサイズであり、呼吸によって肺の奥まで吸い込まれることになります。

黄砂には大気中の様々な微生物も付着しており、それらがアレルギー反応を惹起したり、PM2.5は活性酸素の生成を通じて肺の空気の通り道にある気管や肺胞の上皮細胞にダメージを与えることが示唆されています。(研究結果も公表されています こちら→

対策

残念ながら個人でできる対策には限界があります。(環境破壊を抑えるために我々にも一歩ずつすべきことはあるかもしれませんが・・今すぐには難しいのが事実です。)

一番良いのは黄砂やPM2.5の飛散量が多い日はできるだけ外出を避けることです。最近は各種気象情報で黄砂やPM2.5の飛散情報も見ることができます。

(九州大学が公開している情報はこちら→

通常のサージカルマスクではPM2.5 は防ぐことができませんが、N95などの高性能マスクを一般の方が買い占めてしまうと医療現場がこまるのも事実・・

しないよりはよい、と考え、特に外出中はサージカルマスクを装着し、外出後は家に入る前に洋服をはたいて付着した黄砂やPM2.5を部屋に持ち込まないようにすることも重要です。

洗濯物も室内干しがおすすめです。

最後に

花粉だけでもつらいこの時期、更に黄砂やPM2.5の飛散で症状が悪化する・・考えただけで気が重くなりますが、飛んでくるものは仕方ないため、できる範囲で対策をして被害を抑えていきましょう。黄砂やPM2.5によって花粉症も悪化するといわれています。困った症状があったり、例年より症状が重い場合は気軽に受診も検討してください。

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