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モルヌピラビルの使用について(当院の方針)

新型コロナウイルス感染症、8月の第5波から急速な鎮静化を経て現在もおおむね小康状態が保たれています。一方で新たにオミクロン株の拡大が懸念される中、2021年12月24日、年の瀬に新たなニュースがでました。厚生労働省が12月24日、米製薬会社のメルク社が開発した新型コロナウイルス感染症の飲み薬「モルヌピラビル」(商品名・ラゲブリオ)の製造販売を承認しました。

これによって新型コロナウイルス感染症に対して新たな治療方法が加わることになります。

一方で、その使用の適応については現時点で十分な情報がなく、また副作用についても使用者の増加で新たに見極められる場合もあるため、手放しで喜べる状況ではありません。

当院としましては、現時点でモルヌピラビルの処方はすぐには実施しない方針を考えています。今後ガイドラインの改訂等により、一定の根拠を持って処方できる環境になり次第必要時は処方していく方針としますので、ご理解のほどよろしくお願い致します。

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モルヌピラビル

・発症早期(5日以内)の軽症から中等症の患者が服用することで、ウイルスの増殖を抑えて重症化を防ぐ。

・1日2回、5日間服用する

・重症化リスクの高い人を対象とする治験では、入院・死亡するリスクを約30%下げる効果があった

既に上記情報が示されていますが、臨床現場で使いづらい理由としては以下のものを考えています。

⇒感冒程度の症状で軽快する患者さんも少なからず存在する疾患であり、感染者全員が投薬対象にはなりがたい。

使用実績の増加により未知の副作用が出現する可能性がある。

重症化リスクとしては厚生労働省のガイドラインで

65 歳以上の高齢者
COPD (慢性閉塞性肺疾患 )患者
慢性腎臓病 患者
2型糖尿病 患者
高血圧 患者
脂質異常症 患者
BMI 30以上の肥満者
喫煙者
固形臓器移植後の免疫不全患者

が挙げられているが、高血圧症や脂質異常症は非常にありふれた疾患であり、これらのリスク項目だけで十分なモルヌピラビル適応の評価は行い難い可能性がある。

 

※新規情報が入り次第随時Updateを行います。

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