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SYMPTOM

眼瞼下垂 ~まぶたがさがる~

上の瞼が下がってくること、医学的には眼瞼下垂と呼びます。加齢変化の場合も多いのですが、一方で何らかの疾患と関連している場合もあります。特に、ある程度急激にそういう変化がある場合は早めの受診を検討していただきたいと思います。

眼瞼下垂の原因と対処法、受診時のチェックリストを確認しましょう。

 

メカニズム

まずは瞼の構造と神経の関係を見てみましょう。

瞼を引き上げる筋肉の異常、筋肉に作用する神経の異常など、この経路のどこかに異常があれば、眼瞼下垂が起こることになります。

 

 

 

 

 

眼瞼下垂の重症度

眼の大きさはかなり個人差がありますが、眼瞼下垂については以下のような分類があります。目を見開いた時に・・

*上側の白目(強膜)まで見える =正常

*白目は見えないが黒目(瞳孔)までかからない=軽症

*瞳孔の上縁にかかる=中等症

*瞳孔にかかる=重症

 

 

 

 

神経疾患

やや難しい話ですが、眼瞼を持ち上げる筋肉は脳幹からでた動眼神経が支配しています。この神経が単独でダメージを受ける場合、あまり脳梗塞や脳出血は想定しません(出血や梗塞ではもう少し広い範囲に関わる症状が出現するはずです。)動眼神経単独で圧迫されたりする疾患として動脈瘤はとても大切な鑑別です。動眼神経のすぐそばをとおる動脈に動脈瘤(動脈のコブです。時にくも膜下出血の原因となります)があると片目の眼瞼下垂が起こることがあります。MRI検査などが必要ですので、もし当院にいらっしゃっていただいた場合、この疾患を疑うなら大きな病院に紹介することになります。

筋肉疾患

重症筋無力症、という疾患があります。厳密には筋肉そのものではなく、神経が筋肉に接続する部分の機能異常により、筋肉が脱力してしまう疾患です。自己免疫疾患の一つで、眼瞼型、という眼瞼下垂だけが症状の病型があります。もちろん筋肉は全身にありますので、全身型もあります。この疾患の場合筋肉が疲れやすくなる、という特徴があるため、朝よりも夕方にかけて眼瞼下垂が悪化してくる、という日内変動があります。

治療が必要な疾患のため、まずは神経内科に紹介、となることが多いです。

 

加齢性変化

加齢に伴って眼瞼を持ち上げておく筋肉と眼瞼を支持する組織である瞼板や皮膚との間の結合が緩んで起こります。他にも皮膚のたるみで眼瞼下垂様に見えることもあります。

視野障害を起こす等生活に支障がある場合は外科的治療の適応になる場合もありますので、困っている方は医療機関での相談が必要です。

 

治療

上に書いたような病気の症状として眼瞼下垂が起こっている場合は、その疾患に対する治療が必要になります。特に急性に起こった眼瞼下垂で原因が動脈瘤の場合、急速に動脈瘤が大きくなっている=破裂のリスクが高まっている可能性もあります。重症筋無力症はあまりなじみがないと思いますが、いわゆる難病(特定疾患)です。専門的な介入が必要な場合が多いです。そのような原因に対して介入しても眼瞼下垂が残ってしまい、生活に支障がある場合は形成外科で眼瞼挙上の手術が適応になり得ます。

 

チェックリスト

急速な眼瞼下垂は早急な受診をお願いします。

そういえば最近瞼が下がった、瞼が重い、という場合も一回は受診を検討してよいでしょう。

受診時以下のチェックリストを確認しておいていただくとスムーズだと思います。

 

□いつから症状がありますか?

急に眼瞼下垂がおこりましたか?または徐々に進んでいますか?

□今回が初めての症状ですか?または繰り返していますか?

□片目だけですか?

□他の症状はありますか?

眼のかすみ、複視(物が二重に見える)、視力変化、頭痛、しゃべりづらさ

手足の筋力低下・脱力または疲れやすさ

□今までかかったお病気はありますか? 既往歴

□今飲んでいる薬はありますか?  内服歴

□血縁があるご家族に神経や筋肉の疾患の方はいますか? 家族歴

 

最後に

眼瞼下垂、個人差も大きい目の大きさですが、加齢性変化でも治療適応になることもあります。気になる場合は一度内科や形成外科で相談をしてみましょう。もちろん当院でもWelcomeです。当院で対応しきれない場合は適切な専門科に紹介も致します。

 

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