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SYMPTOM

声が枯れた ~原因と受診のタイミング~

嗄声、させい、と読みます。声がかれた状態を医学用語で表しています。声は吸った息を出すとき、喉にある声帯を振るわせて出しますので、この声帯やその周辺構造物に異常があると声の質の変化が起こります。失声(囁き声)、気息声(空気漏れのある声)、だみ声、無力声、努力声などがありますが、まとめて嗄声、といいます。

脳梗塞などの後遺症で失語、構音障害が起こることがありますが、これらは言葉自体の理解や表出が悪い(失語)、音を作る舌の動きが悪い(構音障害)ため、嗄声とは異なる概念です。

 

原因

嗄声つまり声が“かれる”原因はそのメカニズムから大きく3つに分けて考えることができます。

①声帯の動きが悪い

②声帯の間になんらかの異物がある

③声帯が腫れている

ひとつずつ確認していきましょう

①声帯の動きが悪い

声帯を動かす神経は脳から左右それぞれ出ていますが、実はとても走行距離が長い神経です。一度体幹(左については大動脈の高さ)まで下りてきて、上下方向をくるっと変えてからのどまで戻る、という走行をするため、反回神経、とよばれます。この神経が走行中に障害されると、反回神経麻痺、という病態を引き起こし、声帯がうまく機能しなくなってしまいます。こういう時は声帯がうまく閉じないので、空気漏れのような声になったりします。また、精神的な要因で声が出ない場合も、自分で動かそうと思っても、うまくのどが使えず、声が出せない、ということがあります。ただし、こういう場合は声帯を支配する神経そのものは正常ですので、咳やくしゃみなど反射的な声帯の動きで音が出る場合や、寝言に関しては普通の声が出ることになります。

②声帯の異物

外から声帯に異物がある場合は気道異物、ということになります。下手すれば窒息しかねませんし、肺に落ちていけば肺炎や気道を傷つけてしまう可能性もありますので、早々に除去が必要です。耳鼻科や救急外来に行くしかありません!

他にも、声帯を使う仕事(歌手とか)の方に多いのが声帯ポリープという声帯のできもの、多くはありませんが、癌も鑑別に挙がりますのでしっかり診断を受けることが必要です。

③声帯の質的変化

声帯が炎症で腫れてしまったりしても声が枯れます。急性または慢性の喉頭炎です。いわゆる風邪にともなう嗄声はこちらが原因です。ほかにもやはり癌で声帯本来のしなやかな動きが障害されてしまう場合や声帯が萎縮する、喉頭軟化症、といって喉頭の筋肉の緊張が全体に落ちてしまう病気などが挙げられます。

 

治療

基本的に根本的な原因の治療を要しますし、かならずしも完治する、ともかぎりません。まずは原因をしっかり把握することが必要です。風邪を引いたあと声が枯れるという場合は③声帯の質的変化、が問題となっていますが、時間と共に声帯の腫れも引いてくるので、風邪を悪化させないようにしつつ、経過を見ればよいでしょう。熱や咳、鼻水などのいわゆる風邪症状が全くなく、嗄声しか症状がない場合は、内科から耳鼻科への紹介が必要かもしれません。とくに細いカメラで声帯の動きを実際に確認してもらったり、その周囲にできものがないか、などは耳鼻科の先生にかかるのが最も確かです。

受診前にまとめておくと便利な事

嗄声、声がれが気になる場合、内科、または耳鼻科の受診を検討しましょう

*いつから嗄声がありますか?

*症状は急にでましたか? だんだん悪化していますか?

*今までかかった病気はありますか?(既往歴)

*胸や首の手術歴はありますか?

*職業:

*そのほかの症状はありますか?

発熱、咳、痰

体重減少( か月で  Kg)、食欲低下、飲み込みづらさ(胸につかえる感じ)

*煙草を吸いますか? または過去に吸っていましたか?

→ 〇歳~〇歳 1日  本程度

まとめ

風邪の時、喉頭炎で声が枯れる、というのはよくあることです。あまり心配はいりません。緊急を要するのは異物がある時(何か吸い込んでしまって、その後から声が枯れる)、重篤な疾患が隠れている可能性があるのが反回神経麻痺の時です。まずは内科または耳鼻科に受診をして、医師の判断を仰いでみてください。

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