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SYMPTOM

便に血が混じる ~血便、下血~

ある日トイレで排便後、流そうと便器の中を見たら真っ赤・・焦りますね。生理がないぶん、男性の驚きは想像絶しますが・・。とにかく何事かと、とにかく病院へ、と考えるかもしれません。便が赤い、これは腸管の下流で出血がおこった場合に出るもので、血便と呼びます。読んで字のごとくですね。では似て非なるものですが、下血とは何か?というとこれは腸管のもっと上流で出血したときに血液が腸管の中で黒く変化、あたかも海苔の佃煮みたいな黒いべたべたした便が出るときに使う用語です。別名黒色便、タール便です。血便も下血もどちらも消化管内での出血を疑う所見ですので、何か重大な病気の兆候の可能性もあります。出血が多ければ短時間で、重大な結果を招きます。出血の程度を見ながら一度は病院受診をしましょう。

 

血便と下血

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*科学のお話し

なぜ血液が黒くなるか

血液中のヘモグロビンが胃酸や腸内細菌の作用を受けて酸化

→塩酸ヘマチンやヘマトポルフィリンに変化(黒褐色)

→腸内で発生する硫化水素により硫化ヘモグロビンを生じる(黒色便)

鉄剤(貧血で出ることがあるお薬です)は文字通り鉄(Fe)を内服しますので、同じような変化を遂げて便が黒くなります。ただし、性状や臭いが全く違います。

 

原因

下血、血便の原因はずばり腸管からの出血です。食道かもしれないし、胃、十二指腸、小腸、大腸、なんでもありです。もちろん痔でも、便に血が混じりますので、血便のように見えることはあります(茶色便が血をまとうだけ、というパターンもありますが・・)。

したがって、大事なのは

①どこからの出血であるか

②なんで出血しているか  です。

そして治療に関しては、急性期にはすぐさま止血が必要か、様子を見てよいかの判断が必要です。その後原因検索をしていきます。

 

胃から出血:黒色便

胃潰瘍からの出血のことが多く、動脈出血の場合相当量の血液が出ますので、黒色便だけでなく吐血を来すこともあります。胃がんも大切な鑑別です。

 

十二指腸からの出血:黒色便

まだ血液成分は黒くなって排泄されます。

十二指腸潰瘍からの出血が想定されます。上部消化管内視鏡、いわゆる胃カメラでは十二指腸まで見えることが多く、黒色便の場合は胃カメラが行われることになります。

とても珍しいですが、十二指腸癌という疾患もあります。

 

小腸からの出血

下血や血便がある場合、消化器内科で胃カメラや大腸カメラが行われますが、それでも出血源が不明なことがあります。一過性の場合はカメラの時点ですでに出血源が治癒していた可能性もありますが、一方出血が続く場合(血便が持続する、繰り返す、便潜血で陽性が続くなど)OGIB=原因不明の消化管出血、ということになります。この場合は小腸が出血源のことが多いようです。入口、出口から遠く、かつてはなかなか検査が難しかった小腸ですが、最近は小腸カメラやカプセル内視鏡(小さなカメラの入ったカプセルを飲むだけ!)で小腸も評価が可能になっています。出血の原因としては小腸癌やクローン病、腸管ベーチェット病などの炎症性腸疾患が鑑別に挙がります。

 

大腸からの出血

多いです。便潜血陽性の場合、大腸カメラは1回は受けておくべきでしょう。

やはり心配なのは大腸がん、そのた潰瘍性大腸炎やクローン病、血管奇形なども考えつつの検査となります。

 

肛門からの出血

やはり痔が一番多いです。出血面に便が付着する・・すぐにでも血液に大腸菌など無数の腸内細菌が侵入して敗血症になりそうなものですが、今までの医師人生では痔を原因とした敗血症は見たことがありません・・不思議です。

 

チェックリスト

原因疾患は多岐にわたりすぎるので、ここで細かく記載しませんが、明らかな痔以外の出血であれば、一度は受診を検討してよいと思います。その際、以下のチェックリストを確認してください。

□血圧が低い、顔面蒼白→すぐさま医療機関(救急科や消化器内科、外科があると望ましい)

□いつから

□どの位の量が? 便器いっぱい?紙に付着した程度?

□内服;特に血液サラサラのお薬や鎮痛剤の内服はありますか?

□既往歴

□その他の症状はありますか? 腹痛、吐血、嘔気嘔吐 など

□最近の海外渡航歴(赤痢アメーバという感染症でも血便を起こします)

□最近の体重減少はありますか?

 

最後に

血便と下血がじつは違うものを指している、というのは一般の方にはあまりなじみのない概念かもしれません。便器内が赤ければだれでも異常に気付けると思うのですが、黒色便については、すっかり貧血を来してから来院され、そういえば便が黒くなってた・・なんておっしゃる患者さんもいて、(当然なのですが)あまり広く知られた概念ではないんだなぁと思うことがありました。心配な場合は是非近医を受診しましょう。もちろん当院でもWelcomeです。(内視鏡などはできませんので、近医や総合病院ご紹介になるかもしれません。)

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