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SYMPTOM

不眠

不眠でお困りですか?寝付けない、夜何度も起きてしまう、朝早く目が覚めてその後眠れない、いろいろなタイプの不眠がありますが、睡眠は起きているときのパフォーマンスにも大きな影響を与えます。身体的、精神的な安定に睡眠は欠かせません。不眠の分類や原因を知り、どういう時に受診を考えるか、見てみましょう。

 

不眠の定義

一言に不眠と言ってもその形は様々です。睡眠の必要時間は個人差もありますので、単純に睡眠時間が短くても日中の眠気や疲労感がない場合は特に不眠とは言いません。一方ある程度の時間眠れていたとしても、寝付けない(入眠障害)、夜何度も起きてしまう(中途覚醒)、朝早く目が覚めるとその後眠れない(早朝覚醒)、ぐっすり眠れた感覚が乏しい(熟眠感低下)という症状があり、更に日中の生活に支障があれば、不眠ということになります。

医学の世界ではDSM-Vという不眠の診断基準がありますが、その中でも“生活への支障”は診断に必要な項目に入っています。

 

不眠の頻度

不眠を自覚しても受診しない方も多いですし、一方診断基準では不眠に必ずしも該当しない方が受診する場合もあり、不眠の罹患率ははっきりとはわかりません。しかし、日本の一般人口を対象として行われた疫学調査によれば、成人の21.4%が不眠を訴え、 さらに、成人の14.9%が日中の眠気に悩み、6.3%が寝酒あるいは睡眠薬を常用していることが明らかにされています。

Liu X et al.: Psychiatry Research, 93・1, 1-11(2000)

したがって、日本人成人の5人に1人が不眠の自覚があると思われます。膨大な人数ですね・・

 

不眠の原因

原因は実に様々、多岐にわたりますが、大きく5つの要因を想定でき、それらが単独またはいくつか絡みあって不眠に至ると考えられます。

5つの要因

心理的要因(psychological),精神疾患(psychiatric),生理学的要因(physiological),薬理学的要因(pharmacological),身体的要因(physical)

多くの機能性疾患と同様に、不眠を訴える患者さんが病院に来た場合は、身体、精神疾患、薬やアルコールの使用など原因となる他の疾患がないか、を確認します。とくにこれらの原因が見当たらなければ、心理的な問題や睡眠特有の障害を考える必要があります。

 

不眠の原因を見てみましょう

*適応障害性不眠:急性のストレスが原因で急激に発症する不眠です。

ストレスの管理や適切な対応が必要となりますが、ストレスの軽減と共に改善することも多いです。一時的に睡眠薬に頼ることも検討可能だと考えます。

 

*睡眠環境が不適切;テレビをつけっぱなし、スマホを枕元に置いたまま、電気をつけっぱなし、など、全般に睡眠環境が不適切な場合不眠を来しうるわけです。可能な範囲で積極的によい睡眠環境を整えることが必要です。

 

*身体的要因;これは実に様々です。糖尿病や高血圧はそれ自体が不眠のリスクと言われます。肺や心臓の疾患で咳や呼吸困難感で眠れないこともあります。アトピー性皮膚炎などはそのかゆみが原因で不眠を起こしますし、リウマチなど慢性的な痛みを来す疾患も眠れない原因になるでしょう。特に男性は夜間頻尿を訴える方も多いです。これらの場合はその疾患そのものに適切な介入が必要となります。

 

*精神疾患;

うつ病が代表的ですが、不眠を訴える精神疾患は他にも統合失調症や不安障害など多岐にわたります。内科受診後精神科や心療内科に紹介になると思われます。うつ病は近年非常に患者数の多い疾患ですが、眠れない(または眠りすぎる)、食べられない(または食べすぎる)といった、本来普通にできてしまう行動が難しくなることが最初の症状の場合もあり、注意が必要です。(必ずしも精神的な落ち込みを自覚していなくても・・)

 

*薬物やアルコールの使用

例えばステロイドの内服が必要な患者さんではしばしば不眠が見られます。また、アルコールやカフェインも覚醒、睡眠リズムを害する可能性があります。内服歴から、不眠を来すようなお薬の内服がないか、確認する必要があります。

 

*その他

睡眠時無呼吸症候群は不眠の自覚が強くなくても日中の過度の眠気を来すことがあり、大切な鑑別です。また、むずむず足症候群や周期性四肢運動障害と言われる入眠中に身体が勝手に動いてしまう疾患も身体の動き自体は自覚がなくても不眠を呈することがあります。

このような疾患もそれに応じた適切な治療が必要になります。

 

治療法

治療法はもし原因となる疾患(身体的、精神的)や薬物、アルコール等の使用がある場合は、それらへの加入が治療の第一歩となります。また不適切睡眠環境であればそれらの改善も必要です。

睡眠薬の使用に関しては、医師の間でもその処方に対する姿勢が異なりますが、やはり生活をしなければならず、内服で睡眠が確保でき、生活への支障が軽減される場合、必要に応じた睡眠薬は必要であると私自身は考えています。

したがって、不眠で悩んでいる場合、その原因を調べるとともに、眠るためにできる事を一緒に模索する意味でも、積極的に受診は検討してください。

以下、不眠で受診する場合にまとめておくと便利な項目です

 

□いつから、どのように(急なのかゆっくりなのか)不眠を発症しましたか?

□どのような不眠でお困りですか?

□寝る時に不眠の原因となる身体の症状はありますか? 咳、かゆみ、痛み、頻尿など

□実際に日中の眠気や集中力の低下の自覚はありますか?

□ストレスとなっている出来事や大きなライフイベント(結婚、離婚、死別等)などがありましたか?

□今までかかった病気はありますか? 既往歴

□今飲んでいる薬や最近中止した薬はありますか? 内服歴

 

 

最後に

夜間眠れないだけでなく、日中の生活にも大きな支障をきたす不眠、特に働く世代の方はくたびれた状態で仕事をして、うまくいかない、長時間かかってしまう、などが新たなストレスとなり、さらに悪循環に入ってしまうことも多いように思います。適切な対応で睡眠が確保されるだけで生活の質は大いに上がります。もちろん身体疾患や精神疾患が隠れている場合はそちらに対処、専門科への相談が必要です。不眠に悩んでいる場合は是非一度受診を検討してください。

 

 

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