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骨粗鬆症 ~予防できる骨折は防ぎたい!~

骨粗鬆症、こつそしょうしょう・・漢字で書けない単語の一つです。ものすごく簡単に言うと“骨がもろくなる病気”です。救急外来に転倒→骨折の患者さんはそれは沢山運ばれてきます。例えば足の骨折(大腿骨骨折等)はその後の寝たきりの原因になることも多く、ただ骨が折れてしまう、以上のインパクトを人生にもたらします。しかし、そういう骨折の一部は、骨粗鬆症の予防で防ぐことができるのです。

残念ながら日本では結構放置されていることが多いこの疾患。しっかり骨密度を調べて、必要な方は予防のためにも、内服を検討しましょう。また、日々の生活でできる骨粗鬆症予防についても見ていきましょう。

 

骨粗鬆症とは?

骨密度の低下により、弱い力が加わっただけでも骨が折れやすくなってしまう疾患です。

骨の強度を決めるのは骨密度と骨質(骨の枠組み構造)です。

建物に例えれば、骨密度がコンクリート部分、骨質は鉄筋部分ということになります。どちらもが相まって建物の強さを決めるように、骨の強度も両方の影響を受けて決まります。

一般的に骨の強度の70%を骨密度が規定し、残りの30%を骨質が規定するといわれています。

 

 

 

 

 

原因

原因はいろいろありますが、やはり加齢、女性の場合は閉経、がキーワードになります。

骨密度は30-40歳をピークに低下していきますので、加齢により骨密度は下がります。また、女性ホルモンは骨の代謝にかかわるため、閉経による女性ホルモンの減少で、女性はぐんと骨粗鬆症のリスクが上がります。

原因は大きく、原発性と二次性(続発性)に分けて考えます。二次性(続発性)、というのは何か別の疾患や薬剤による副作用として起こってくるもので、原発性、とは違いますし、基本的に専門家(整形外科)への紹介を検討します。原発性、という場合は加齢や閉経を契機に、他に明らかな要因なく骨粗鬆症をおこす場合を指し、日本には1300万人の患者がいるといわれます。適切な治療を受けているのは多く見積もっても20%。もちろん加療をしていても病的骨折のリスクはありますが、やはり、未治療の場合は、より骨折リスクは上がります。骨折、、たかが骨折と侮るなかれ、痛いだけでは済まないことも多々あります。特に高齢者の大腿骨や骨盤の骨折はそのまま寝たきりの原因となり、寝たきりになると、やはり多くの方は生命予後も悪化します。(もっと端的に言うなら、早く死ぬ可能性が高くなってしまいます。)

 

検査

骨密度はX線を用いる検査と超音波を用いる検査があります。より精密なのはX線を用いる検査ですが、大型装置が必要でもあり、なかなかちまたのクリニックには設置しづらく、また被曝というデメリットもあります。一方超音波型の場合は、その検査結果だけで“骨粗鬆症”の診断はできず、他の症状や骨折の既往、検査結果などから総合的に判断する必要が生じますが、置き型の機械で簡単に(検査時間は1分くらい、靴下を脱ぐとか足のサイズを確認する、という準備も入れて10分くらい)検査ができる、というメリットがあります。

*当院でも超音波型の骨密度検査が施行可能です。興味がある方はぜひご相談ください。

→骨密度検査

 

治療

食事+運動+太陽光を浴びる つまり生活習慣の見直しは必須である一方、やはりある程度の骨粗鬆症に対しては薬物治療が好ましいと考えられます。

病的骨折、を防ぐことはその後のQOL=人生の質 を確保するうえでも重要であるからです。

→圧迫骨折とは?

生活習慣

食事では十分量のカルシウムやビタミンDを取ることが必要です。

また、運動による骨への圧刺激も重要です。重量に抗う動き、抗重力の運動はそれだけで骨に圧力がかかりますので、臥位より座位、座位より立位が当然骨にも良い働きをします。

また、日光暴露も重要です。というのも、ビタミンDを実際に体内で働ける活性型ビタミンDに変化させるためには日光が必要だからです。

*日光不足は小児ではくる病、という骨の代謝疾患を引き起こします。

 

薬物治療

骨粗鬆症の診断がついた場合や骨粗鬆症と同程度の骨折リスクがある、と考えられる骨塩量(骨密度)低下のある方では薬剤治療を検討します。

薬には様々な種類があります。また、男女でも使い分けがあります。

閉経後女性で骨折のリスクがあまり高くない場合は、エストロゲンホルモンに似た作用の内服を使用することがあります。

もう少し骨折リスクが高い、という場合はビスフォスオネート製剤、という種類の薬を使います。この製剤は内服、点滴に大きく分けられます。また、内服も週に1回のものから月に1回(4週に1回)のものまであります。生活スタイルに合わせた薬剤の選択が可能ですので、是非かかりつけ医に相談してみましょう。

 

チェックリスト

基本的に自覚症状は乏しい病気です。積極的に疑うことが重要です。

検査も簡単に可能です。もし心配でしたら積極的にかかりつけの先生に聞いてみましょう。

 

受診の時に・・

□骨粗鬆症を心配している旨を伝える

□今飲んでいる薬をまとめておく

最後に

骨粗鬆種ガイドラインを開くと、日本には1280万人の骨粗鬆症患者がいると推定されています。日本の人口から考えるといかにその人数が膨大であるか、わかると思います。加齢とともに骨密度の低下が起こり、若い時なら何て言うことのない軽い外傷でも骨折を起こしたり、寝たきりになる可能性があるわけですから、とても怖い病気であるといえます。骨折に至るまで自覚症状がなく、積極的に疑うことが必要な骨粗鬆症、是非心配な方は内科や整形外科で相談をしてみて下さい。もちろん当院もWelcomeです。

コラム

骨粗鬆症の鬆、の字ですが、茶碗蒸しに穴だらけになる“す”が立つ、この“す”を指す漢字だそうです。骨がスカスカ、目が粗くなって鬆が立つ、病態をよく表した病名だなと思います。

 

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