045-264-6590
CLOSE

DISEASE_NAME

脂質異常症・・何が異常かよくわからない病名かもしれません

生活習慣病の一つとして挙げられる脂質異常症ですが、かつての呼び名、高コレステロール血症、のほうがなじみがあるかもしれません。2007年から脂質異常症の病名が使われるようになりました。必ずしもコレステロールしか上がらないわけではない、善玉コレステロールは多いよりむしろ少ない方が問題である、などいろいろな知見が積み重ねられたことから、現在は脂質異常症、という病名が使われるようになっているのです。

読んで字のごとく、血液中の脂質=コレステロールや中性脂肪の濃度が適切でない状況を脂質異常症、と称しています。

血液検査では

①中性脂肪(トリグリセリド)

②LDL-コレステロール:いわゆる悪玉コレステロール

③HDL-コレステロール:いわゆる善玉コレステロール

の項目を調べることができます。中性脂肪やLDLコレステロールが多い、またはHDLコレステロールが少ない場合、脂質異常症の診断になります。

*脂質異常症の診断基準

脂質異常症は上記のように、3つの血液検査(空腹時)項目で判断します。1項目でも該当すれば脂質異常症、ということになります。

LDLコレステロール 140mg/dL以上 高LDLコレステロール血症
120~139mg/dL 境界域高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール 40 mg/dL未満 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド 150 mg/dL以上 高トリグリセライド血症

*脂質異常症の問題点

血液中の脂質が高くても、基本、特に体には実感できる症状は現れません。どこも痛くないし吐き気などもありません。したがって、定期健診などで検査値の異常が指摘されることで最初に脂質異常症が疑われることになります。

では、脂質異常症は体にどんな影響を与えるのでしょうか?その答えは、動脈硬化の主要な原因の一つとなり、のちのち動脈硬化に起因する様々な疾患(例えば脳梗塞や心筋梗塞、腎疾患など)のリスクになってしまう、ということです。

動脈は心臓から全身の臓器に血液を送る重要な役割がありますが、その血管は若い時はとてもしなやかに内部を流れる血液の流量に合わせてその径を変えることができます。それによって血圧を適切な範囲にコントロールし、臓器に必要な血液を適切に配分することができます。ところが動脈硬化が進行すると動脈壁のしなやかさは失われ、血圧が高くなったり、血管のダメージにより動脈が詰まったり(心筋梗塞や脳梗塞など)、動脈が切れる(脳出血など)の原因となります。

*治療

今までの既往歴や性別、年齢、高血圧の有無などから目標とするLDLコレステロール値は細かく分類されています。特に若い女性で他に疾患がなく、LDLコレステロールが多少高い場合、薬による加療の必要性はほとんどない場合があります。一方、心筋梗塞の既往があるような場合はLDLコレステロールは100mg/dl以下が目標と基準は厳しくなります。

こちらのページで自分のLDLコレステロール目標値を確認できます (→MSD製薬ホームページより

生活習慣病である脂質異常症・・一番大切なのは生活習慣の改善です。食生活・運動習慣の改善によるコレステロール値の改善が一番効果的です。やや体重が多い方は減量も重要です。

それでも中々コレステロールや中性脂肪が下がらない場合は薬による加療が可能です。スタチンという種類のお薬は強力にコレステロールを下げる作用があるため、脂質異常症の患者さんでよく使われます。数種類のお薬から症状や生活、体調に合わせた処方を選択することになりますので、詳細はかかりつけ医にご相談ください。

食生活は細かいことはここでは述べませんが、クリニックでお伝えしているのは・・・

☆肉か魚か悩んだら魚を食べましょう

☆バターやマーガリンなどの油分の使用は避け、オリーブ油や魚の油を使用しましょう

炭水化物は血糖だけでなく中性脂肪も上げてしまいます。食べすぎに注意し、白米は玄米の追加なども検討してください。

☆肥満はあらゆる生活習慣病にマイナスです。BMI>25の場合は減量を目指しましょう

 

*最後に

脂質異常症は症状もなく、そもそも血圧以上に検査が難しい(血液検査が必須です!)ため、健診で指摘されてもついつい放置しがちな異常の一つです。もちろん全体にリスクが低い方では多少LDLコレステロールや中性脂肪が高くても急に何か大きな疾患につながることはありません。ただし長年脂質異常症を放置したり、高血圧や糖尿病、高尿酸血症などとの合わせ技で血管に負担がかかり続ければ動脈硬化の重要な原因となってしまうのも事実です。もし健診等でコレステロールや中性脂肪の異常値が指摘されたら、まずはかかりつけの医師に今後の対応を相談してみましょう。当院でも積極的に脂質異常症の診療は行っています。気軽にご相談ください。

ページトップへ