045-264-6590
CLOSE

DISEASE_NAME

糖尿病④ 症状

糖尿病についてさんざん書いてきましたが、そもそも糖尿病は健診の血液検査でしか見つからないのでしょうか?実はそんなことはありません。実際クリニックでも慢性的なだるさや喉の異常な渇き、尿量の増加を主訴に受診され、症状から糖尿病を疑い、診断に至る方もいらっしゃいます。

糖尿病・・熱や痛みなど派手な症状がないため見過ごしがちであるのは事実ですか、慢性的な高血糖に伴う症状やいろいろな合併症に伴う症状が知られています。以下糖尿病の典型的な症状をご紹介します。

糖尿病の症状について

高血糖に伴う症状

合併症に伴う症状

最後に

 

糖尿病の症状について

糖尿病は何度も記載している通り、インスリンの作用が不足して慢性的な高血糖となることで身体中の血管がダメージを受ける病気です。よって慢性的な高血糖による症状と血管のダメージによる合併症に伴う症状が出現しうることになります。

徐々に血糖値が上がっても痛みや発熱などのわかりやすい症状は出現しません。しかし、実際に糖尿病と診断された方に聞いてみると「そういえば最近○○だった・・」と後から症状を認識できる方もおり、完全に無症状ではない場合も少なくないようです。

 

高血糖に伴う症状

まず慢性的な高血糖に伴う症状を紹介します。血糖値が高いと血液の浸透圧が高まり、体内の水分バランスに崩れが生じます。これによって・・

・口渇(喉の渇き) ・多飲(水分を摂りすぎる) ・多尿(尿量が増える)

・体重減少(水分不足やブドウ糖をうまくエネルギー源にできないため筋・脂肪が減少する)

・疲れやすさ(易疲労感)

などが出現します。

 

合併症に伴う症状

高血糖に伴う症状に比べ、合併症による症状はダメージを受けた臓器によって多彩なパターンで出現します。しばしばみられる合併症とその症状を紹介します。

神経:末梢神経は脊髄から手足の先まで網目のように張り巡らされ、脳からの情報を筋肉に伝えたり手足の感覚を脳に伝えたりしています。細長い神経に栄養を送るのが細い動脈たちです。この動脈が糖尿病によってダメージを受けると、結果として神経も栄養不足に陥り、ダメージを受けることになります。なんとなく感覚的にわかりやすいと思いますが、神経の中でも太くて周りを他の細胞に囲まれ、守られたもの(運動神経)よりも、神経単体で走行している細い神経(感覚神経、特に温覚や痛覚の神経)がダメージに弱くなります。よって糖尿病による血管障害から神経障害が起こると細い感覚神経からダメージを受け症状が出現してくることになります。感覚神経のダメージのため、温度や痛みに鈍感になったり、逆にしびれ感が出現したりします。

:網膜は眼球の奥にスクリーン状に存在し、目に入った情報を最初に神経に伝える重要な構造物です。この網膜にも細い動脈が張り巡らされ、大事な神経細胞に栄養を送ります。この血管がダメージを受けると網膜に傷害が起こります。糖尿病性網膜症といわれる病態です。視力の低下や視野の異常が糖尿病の症状として出現する可能性があります。ちなみに日本における中途失明の原因の第一位が糖尿病性網膜症です。

腎機能低下:腎臓は血液を濾して老廃物や余分な水分を尿として体外に排泄し、大事なものは再吸収するという生きるうえで欠かせない機能を担う臓器です。この腎臓もやはり血管が豊富に存在し、血液のろ過を行い、老廃物の排泄などを行っています。よって糖尿病による血管障害が腎臓で起これば腎機能が低下することになります。糖尿病性腎症と呼ばれる病態です。最初はあまり症状がでませんが、血液検査でBUN/Cre(びーゆーえぬ/クレアチニン)などの値が上昇したり、尿検査で尿蛋白が検出されるようになったります。腎機能障害が末期になると、自力で体内の老廃物を排泄したり水分調整ができなくなるため、透析が必要になってしまいます。残念ながら現在日本で透析が必要となる最大の原因が糖尿病です。

足の壊死・壊疽:糖尿病の方は上述の通り、神経障害によって痛みを感じづらくなります。すると特に足のつめや指先の変調に気づきにくくなります。具体的には白癬(水虫)の悪化に気が付かなかったり、実施にケガをしていても気づかないなどです。さらに糖尿病の方は傷の治りも悪くなることが知られています。これによって軽微な傷→徐々に悪化→気が付かず放置→壊死・壊疽に至ることも稀ではありません。壊死、壊疽した組織は不可逆的なダメージを負います(言ってしまえば腐っているので・・)ので切断などの対応が必要になってしまいます。

その他、自律神経障害として発汗異常や便秘・下痢になったり、男性の場合EDが症状として出現することがあります。

 

最後に

普段の生活で最初に気づきうる、糖尿病も疑った方がよい(他の病気かもしれないが、糖尿病かもしれないと考えられる)症状を以下再掲します。

・口渇(喉の渇き) ・多飲(水分を摂りすぎる) ・多尿(尿量が増える)・体重減少(水分不足やブドウ糖をうまくエネルギー源にできないため筋・脂肪が減少する)・疲れやすい(易疲労感)・手足のしびれ感 ・視力低下 

気になる症状があれば是非気軽にかかりつけ医にご相談ください。実際の血糖値チェックならすぐに検査が可能です。そこから必要に応じた採血などの対応に進んでいくことが出来るでしょう。

ページトップへ