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糖尿病③ 「境界型」と診断された場合・・

糖尿病② 診断に必要な検査」で糖尿病の診断について記載しました。

血糖値とHbA1c を判断基準として1回または2回の検査で糖尿病の診断ができることがわかりました。ここで一つ取り扱いに困る例が出現します。

正常というには高血糖傾向であるものの、糖尿病と確定までは至らない状態です。この場合「境界型」、すなわち糖尿病予備軍として厳重に経過を見ていくことが必要となります。

今回は「境界型」と診断された場合の対応を紹介します。

境界型とはどのような状態?

境界型と言われたら・・

最後に

 

境界型とはどのような状態?

上述のように検査の結果、糖尿病の確定には至らないものの血糖値が高めの状態が示唆される方が「境界型」に当てはまります。この境界型はさらに2つの状態に分けて考えることができます。耐糖能異常(IGT)と空腹時血糖異常(IFG)です。(下図参照)

こちらの図は縦軸が空腹時血糖値、横軸が75gOGTTの2時間血糖値を表します。(75gOGTTについてはこちら→

IGT:空腹時血糖はそこまで高くないが、糖分を摂取した後の血糖値の下がりが悪い方です。いわゆる糖の摂取に耐える力が落ちてきた状態、すなわち耐糖能が低下してきていることが示唆されます。

IFG:空腹時の血糖値が高めの状態です。

一般にIGT(耐糖能異常)を示す方の割合が多く、より糖尿病への移行も多いようです。

境界型と診断された場合、時間の経過の中でこれから徐々に糖尿病になっていってしまう方と実は徐々に改善傾向にある方(例えばほぼ糖尿病であったが幸いにも生活習慣が改善されてきた等)が混在しています。よって1回の検査で判断を終了するのではなく、これからの経過を見ていくことが非常に重要となります。

境界型と言われたら・・

境界型とはすなわち今後糖尿病になっていく可能性が正常型の方に比べ高い糖尿病予備軍と考えられます。糖尿病に至ってしまえば慢性的な高血糖による血管のダメージの蓄積から様々な怖い病気(心筋梗塞、脳梗塞や腎障害等々)につながっていきます。境界型の時点で適切な生活習慣の改善を行うことで糖尿病への進展を予防できることが知られています。よって、境界型糖尿病の方については以下の点に注意して3-6か月ごとに検査をしつつ経過を見ていくことが重要です。

肥満の評価、改善:身長、体重を測定し、以下の式に当てはめることで簡単にBMI(Body Mass Index)を計算することが可能です。

BMI=体重(Kg) ÷ 身長(m)÷ 身長(m) ※身長170㎝体重65㎏ならBMI=65÷1.7÷1.7=22.5 です。

このBMIは22~25が適正体重、25以上が肥満と判定されます。BMIが25を超える境界型の方は是非減量が進められます。まずは体重の3%を目標に減量を図ってみましょう。

※3%の減量は70㎏の方なら約68㎏を目指すこと・・・そんなに難しい値ではないでしょう。その後適正なBMIを目指し目標体重を設定します。

食事の見直し:糖の摂取量や摂取方法によって血糖値は大きく変動することが知られています。摂りすぎはもちろん御法度ですが、それ以外にも日々の生活で注意できることがあります。

そもそも糖が多い食べ物は甘いお菓子や飲み物だけでなく、白米やパン、じゃがいもなどの穀類です。よってこれら主食の摂取量を少し減らすことは糖の全体摂取量を減らすことにつながります。またご飯を白米から玄米や五穀米に変えたりすることも有用です。

血糖値を上げすぎないよう食事の時は食べる順番にも気を使うと良いようです。具体的には野菜など食物繊維が豊富なものを先に食べ、続いて肉・魚などの主菜、最後に主食の米などを食べるようにすると血糖値の上昇が緩やかになります。

③脂質異常症や高血圧症の評価→治療:脂質異常症はLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪(トリグリセリド)が高かったり、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低い状態を表します。血液検査で簡単に評価が可能です。耐糖能異常がある場合、脂質異常症や高血圧症はさらに血管のダメージを増幅させる危険な要因です。境界型の方で脂質異常症や高血圧症があると分かれば、これらについて積極的に加療を開始することが重要です。

最後に

血糖値が軽度異常、境界型と判断された場合、やはり放置によって糖尿病に至ってしまえば様々な病気のリスクとなるとともに治療のために日常生活にも制限や支障が出てくる可能性があります。境界型と診断されてしまった場合

①3-6か月毎に検査を行い評価をしておく

②生活習慣を見直す

この2点は是非行いたいものです。健診などで異常が指摘された場合、まずは再検を行い一時的な異常値であったのか経過観察が必要であるのかの判断から始めることが重要です。心配なことがあればクリニックでも気軽にご相談ください。

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