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睡眠時無呼吸症候群をご存知ですか?①

睡眠時無呼吸症候群(略称:SAS サス Sleep Apnea Syndrome)、ご存知ですか?

一時、日中の急な眠気が交通事故の原因として注目されました。まさに読んで字のごとく、睡眠時に一時的に呼吸が停止したり呼吸の量が低下して体内の酸素濃度が低下してしまうような病気です。息を止めていても別に死ぬほどでないのだから大丈夫では?と思われる方もいるかもしれませんが、高血圧をはじめ、さまざまな内科的疾患の原因や増悪因子になっていることがわかっています。

今回当院におきまして、この放置できない睡眠時無呼吸症候群の早期発見、治療につなげるため、自宅でできる簡易検査の実施が可能となりましたのでご紹介します。

睡眠時無呼吸症候群とは?

WHO(世界保健機構)の定義では睡眠時無呼吸症候群とは「一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上おこるか、睡眠1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が5回以上の場合」と示しています。わかりづらいですね。

◎無呼吸:10秒以上の呼吸停止 =息が10秒以上止まっている

◎低呼吸:気流(肺に出入りする空気の量)が半分以上低下し、同時に体内の酸素飽和度(血液中の酸素濃度 SpO2で表します)が4%以上低下するか、あるいは睡眠から覚醒すること

という定義があり、睡眠1時間の間に上記のような無呼吸や低呼吸が5回以上起こる、そしてさまざまな身体の不調を引き起こすのが睡眠時無呼吸症候群といえます。

睡眠時無呼吸症候群の患者数は?

正確な患者数はわかっていないのが現状です。はっきりとした自覚症状のない睡眠時無呼吸症候群、医療や治療を受けていない患者さんも多いことが予想されるためです。

2015年の段階でCPAP(睡眠中に空気を起こりこむ睡眠時無呼吸症候群の治療法)を使用している人は40万人、一方で本当は治療をした方がよい睡眠時無呼吸症候群の患者さんは300万人~500万人ともいわれます。

日本呼吸器学会では、成人男性の約3~7%、女性の約2~5%が睡眠時無呼吸症候群と発表しています。男性では40歳~50歳代が半数以上を占める一方で、女性では閉経後に増加するため、もう少し年齢が高いのが特徴です。

睡眠時無呼吸症候群の原因は?

睡眠時無呼吸症候群を起こすのは大きく2つのメカニズムがあります。

①閉塞型:気管や気道など空気の通り道が狭くなったり閉じたりする

圧倒的に患者数が多いのがこの閉塞型で、鼻・口から気管を経て肺に届く空気、その通り道のどこかが狭くなればいびき、閉じてしまえば無呼吸を引き起こします。肥満で首周囲の脂肪が多く、気道が狭くなりがちな型に加え、顎が小さい、喉の扁桃腺が大きい(アデノイド)、舌が大きい、なども重要な閉塞型睡眠時無呼吸症候群の原因となっています。

②中枢型:呼吸をつかさどる脳の指令が不十分で呼吸が停止する

この中枢型睡眠時無呼吸症候群は例えば脳の疾患で呼吸中枢の働きが不十分で無呼吸などがおこるパターンで患者数は閉塞型に比較して少ないです。(原因 例:多系統萎縮症など)

*これらの2つの型が混ざった混合型、もあります。

睡眠時無呼吸症候群の症状は?

直接には睡眠時の無呼吸、が主な症状ですが、そこから様々な合併症が引き起こされてしまうことが怖い点です。

*日中の強い眠気;集中力、注意力の低下などで仕事・学業のパフォーマンス低下、重度では交通事故も起こすレベル

*高血圧症;特に薬を飲んでも効果が乏しい患者さんの実に80%が睡眠時無呼吸症候群がある、とも言われます。

他にも頭痛、疲労感、慢性的な血行不良により不整脈、脳梗塞や心筋梗塞などの発生、増悪要因となります。

自分もそうかも?

重度になると、他人も巻き込む事故につながってしまうなど、さまざまな病気に影響する睡眠時無呼吸症候群ですが、一番はやはり自覚症状が乏しいことで気づけない、という点が患者さん側も医療者側も注目しづらい大きな要因かもしれません。

以下の眠気スコア(ESS)やSTOP-Bang問診票の項目を参考にしてセルフチェックをしてみてください。

睡眠時無呼吸症候群について気になる場合は早めに、SAS検査を取り扱っている医療機関を受診、相談していただくことが重要です。

~今回はここまで、次回は検査、治療について記載します~

以下眠気スコアとSTOP-Bang問診票の項目です。是非気軽にチェックしてみましょう。

エプワース眠気尺度(ESS):日中の眠気について 当てはまる番号に○をつけてください。11点以上で睡眠時無呼吸症候群の可能性が高くなります。

うとうとする可能性は
ほとんどない 少しある 半々くらい 高い
座って、読書をしている時 0 1 2 3
テレビ  を見ている時 0 1 2 3
人が大勢いる場所(会議・映画館)で座っている時 0 1 2 3
午後、横になって休憩している時 0 1 2 3
座って人と話しをしている時 0 1 2 3
昼食後、静かに座っている時 0 1 2 3
他の人が運転する車に同乗している時 0 1 2 3
自分で運転中、渋滞などで数分間止まって いる時 0 1 2 3

 

STOP-Bang問診票

S) いびき (snoring) 大きないびきですか?
□はい   □いいえ *閉めたドア越しに聞こえるまたはベッドパートナーを起こす程度

T) 日中の疲労感(Tired)
日中しばしば疲労、倦怠感や眠気をかんじますか?
□はい   □いいえ   *運転中または人と話しをしている時に眠気を感じる程度

O) 第三者に指摘される無呼吸(Observed apnea)
他の者から睡眠中に呼吸がとまるまたは苦しくなったことを指摘されたことがありますか?
□はい   □いいえ

P)  高血圧(high blood Pressure)家庭血圧では135/85を超える場合です。
高血圧をもちですかまたは現在高血圧の治療をうけていますか?
□はい   □いいえ

B) Body Mass Index (BMI)。
BMIが25以上ですか?  □はい   □いいえ

A) 年齢 (age)。
年齢が50以上ですか?  □はい   □いい

N)   首周囲(neck circumference)喉ぼとけの位置で、
首周囲が女性の場合41cm以上ですか?□はい   □いいえ
首周囲が男性の場合43cm以上ですか?□はい   □いいえ

G) 性別(gender)は男性ですか?  □はい   □いいえ

はい、の項目数を数えます。

0~2点の場合、睡眠時無呼吸症候群のリスクは軽度です。
3~4点の場合、睡眠時無呼吸症候群のリスクは中等度です。睡眠時無呼吸症候群がある可能性が72%、重症の無呼吸症候群のある可 能性が13-18%です。
5点以上の場合、睡眠時無呼吸症候群のリスクは高度です。睡眠時無呼吸症候群がある可能性が77%以上で、無呼吸低呼吸指数(AHI)が30を超える重症の無呼吸症候群の可能性も30%以上あります。

 

 

睡眠時無呼吸症候群をご存知ですか?②

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