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切り傷、切創

切り傷・・痛いですよね。指先を紙や段ボールで切った浅い傷でもなかなかの存在感。まして刃物でつけた切り傷なんてしばらく脈打つような痛みがジンジンと続きます。切り傷、字を見ただけ痛いこの傷ですが、擦り傷より深いことも多いですし、病院受診が必要な場合もあります。チェックリストで受診を検討しつつ、自宅でできる処置の方法についても見ていきましょう。

擦り傷についてはこちら

切り傷とは

受診したほうがいい場合

自宅で経過を見る場合

 

切り傷(切創)とは

切り傷の定義としては鋭利物(つまり刃物やガラス、鋭利なもの)による皮膚の損傷です。ぶつける、のではなく、切る傷なので、基本的に切れた周囲の組織は圧迫による挫滅(打撲、組織の損傷)はありません。傷の線(創縁)ががたがたせず綺麗に見えるのが特徴です。

※切創の他にも、道路などに皮膚がすれることで起こる擦過傷(さっかしょう)、ぶつけて周囲組織にもダメージのある挫創(ざそう)、何かが刺さって生じる刺創(しそう)、頭や膝など、骨と硬いものの間に皮膚が挟まれ生じる割創(かっそう)などがあります。

 

受診したほうがいい場合

切り傷は受傷起点(どうやって傷を負ったか)によってその範囲も場所も重症度も全く異なります。傷が小さくても例えば指などは腱や神経が障害されうる可能性もあり注意が必要ですし、汚い傷も感染の危険があります。特に血が止まらないなら早期受診が必要です。

以下のチェックリストに当てはまる場合は救急病院や皮膚科、形成外科を受診してください。

深い、血が止まらない

ふいても、ぬぐっても血が出てきて、そもそも傷もまともに見えない、そんな傷は恐らく病院で止血し、縫合しないと対応ができません。指先や腕などの傷の場合、救急車を使用する必要はありません、落ち着いて、清潔なガーゼ等で患部を圧迫止血しつつ、病院を訪ねましょう。

※圧迫止血には直接圧迫止血、間接圧迫止血があります。

直接圧迫止血は文字通り、傷自体をガーゼなどで多い抑えて圧迫する方法です。採血のあとに針の刺さった場所を数分間抑えるのも直接圧迫止血です。多くの傷はこれで止血が可能です。一方、動脈からの出血等、出血量が多い場合は、上流の太い動脈を圧迫し、血流を遮断することで止血できる場合があります。動脈の位置を把握しておく必要があり、中々難しいと思いますが、例えば指であれば付け根の両端を抑えると止血できる場合があります。

□切断してしまった場合

調理中などに指先の切断、多くはありませんが救急外来に受診されることがあります。とにかく落ち着いて、切断指を湿ったガーゼ(できれば生理食塩水で湿らせたガーゼ、なければ水道水で湿らせたガーゼやキッチンペーパーで水は絞って)でくるんで、ビニール袋に入れ、そのビニール袋を氷水に入れて、急いで病院を受診しましょう。乾燥させないよう、注意が必要です。

 

□鋭利物が汚い

破傷風は稀ではありますが死亡のリスクもある怖い疾患です。錆びた刃物、工具、金属片などで切ってしまった、創部に土や泥がついている場合、その後破傷風を発症するリスクがあります。心配な場合、創部を水で洗って止血をしてから、念のため受診しておくのがよいでしょう。破傷風トキソイド、という予防接種で破傷風を防ぐことができます。

□機能障害がある

傷が深い、とも共通しますが、例えば手や指は指を動かすための細かい神経や筋肉、腱がたくさん走行しています。浅くてもこれを切っていれば指が曲がらないなど障害を残すこともあります。腱は全例とは言いませんが、縫合でつなぎなおすことも可能な組織です。切り傷を負ったあと、感覚障害や動かないなどの症状がある場合、受診が必要です。

自宅で処置する場合

では、病院受診するほどでない、と判断した場合の処置です。

  • 水道水できれいに洗い、中に異物が残らないようにしましょう。

異物は感染のリスクになります、しっかりと除去することが必要です。

  • 消毒はたいてい不要です
  • 小さな切り傷ならオープンでも(とくに何も貼らなくても)治ります。

ただし、ある程度大きめの切り創は皮膚の張りで創部が広がってしまう場合があります。その場合、治癒するまで傷の縁同士を寄せておかないと開 いたまま、その空間に治癒過程でできる線維組織が埋まって→治ることになりますので痕が残りやすくなってしまいます。

※縫合するほどでない傷でも、きれいに創縁(創の断面)をくっつけておいたほうがいい場合は病院ではステリテープという医療用テープで傷をよせて止めることがあります。小さな傷であれば内科、皮膚科、形成外科で対応可能なことも多く、心配な場合はご相談ください。

 

人間の再生力は本当にすごいなぁと思います。大抵のきずなら治ります。ただ、著しく栄養状態が悪い方、ステロイドの内服をしている方、コントロールの悪い糖尿病の方などは傷の治りが遅いことも多いです。また、血液サラサラのお薬を飲まれている場合は血が止まりづらい、ということもあるかもしれません。自宅で様子を見ることにしたけど、治らんない、また出血が・・という場合も受診をして、医師の確認を受けてください。

 

まとめ

血の色は人を興奮させます。どこかに切り傷を負って血がどっと出ると、焦ってしまうものです。普通です。が、焦ってもどうにもならないのも事実です。落ち着いて傷を確認しつつ、病院での処置が必要か、まずは止血して自宅で様子を見るか、考えてください。どう対処すればいいか分からない場合はぜひかかりつけ医にご相談ください。

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