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パーキンソン病 ~治療・内服薬~

パーキンソン病の治療薬は多岐にわたります。パーキンソン病のメカニズムを考えれば大きな柱になるお薬は2種類、足りないドパミンを補う薬または本来ドパミンが作用する受容体をお薬で直に刺激する薬、ということになります。

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ただし、他にもドパミンの分解を抑えて間接的にドパミン濃度を保つお薬などもあります。

今回はパーキンソン病で用いられる薬について、図解を用いて説明します。

 *パーキンソン病の治療薬

 *詳細

 *最後に

まず正常な脳では一部の神経細胞がドパミンという神経伝達物質を用いて情報のやり取りを行います。(ほかにもセロトニンやノルアドレナリンなど様々な神経伝達物質があります。)

しかし、パーキンソン病ではそのドパミンを含む神経細胞が原因はわからないものの少しずつ変性、脱落していきます。その結果ドパミンが不足し、結果としてドパミンを受け取る側も正常な機能が保てなくなることでパーキンソン病特有の動きづらさやふるえなどの症状が出現します。

*パーキンソン病の治療薬

必要なドーパミンという物質の不足が疾患につながるため、パーキンソン病の治療戦略は大きく2つ考えることができます。

①足りないドパミンを補う

②ドパミンが本来作用する受容体を直接刺激してしまう

この目的を達成するために様々な薬剤が使われます。

①足りないドパミンを補う

不足したものを外から足す、ということでメカニズムは非常にわかりやすいかと思いますが、残念ながらドパミンが足りないからドパミンを内服すればよい!という簡単な話ではありません。まずドパミン自体は内服してもすぐに分解されてしまうため、ドパミンの飲み薬はありません。飲み薬ではドパミンの原料となるレボドパを内服します。

このレボドパが吸収され、脳まで到達すると、脳の中で特定の酵素(AADC)が働き、レボドパをドパミンに変換することができます。こうして内服したレボドパは脳でドパミンとして働くことができるようになります。

よってレボドパの服用はパーキンソン病患者さんにおいてベーシックに行われる治療の一つです。

ところがせっかく内服したレボドパは脳に到達する前に様々な酵素によって分解されてしまいます。そこで、この分解酵素を抑えるような薬をレボドパと内服する必要があります。

②ドパミンが本来作用する受容体を直接刺激してしまう

これも病気のメカニズムを考えると非常に理にかなった治療薬です。ドパミン不足で働こうにも刺激がなくて働けないドパミンの受け手側の神経を代わりに薬で刺激する、という治療です。下図ピンクの□で囲ったドパミン受容体作動薬、というのがその一群のお薬が作用する場所です。このドパミン受容体作動薬にもたくさんの種類があり、飲み薬だけでなく貼り薬や点滴製剤も存在します。

かなり込み入った話にはなりますが、より詳細を以下に記載しました。気になる方は是非ご覧ください。

 

以下詳細

内服したレボドパ(黄色の〇)は脳の外(=末梢)でAADCやCOMTという酵素により分解を受けると、脳には移行することができなくなります。そこで、レボドパの分解を抑える薬として、カルビドパやベンゼラジドという分解酵素の阻害薬をレボドパと内服するのがパーキンソン病治療の最初の一歩となります。ネオドパストンやドパコール、マドパー、ネオドパゾール、イーシー・ドパールなどがこの酵素を抑える薬とレボドパが一つになったお薬です。

発症初期の場合はこの内服薬でかなりの効果を得ることができます。

しかし神経変性疾患であるパーキンソン病は個人差がありますが、徐々に神経細胞のダメージが蓄積し、症状は進行してしまいます。

もう少し症状が進行するとレボドパの効果が切れやすくなり、日中突然身体が動かないOff時間というのが出現してきます。この場合、よりレボドパの分解を抑えるべくエンタカポン、オピカポンという薬も使われるようになります。

これらのお薬が奏功すると1日の中でOffとなってしまう時間の短縮が期待されます。ただし、副作用も出やすくなるため、幻覚が見えたり、勝手に体が動くジスキネジアという副作用が強く出る場合は別の薬を試すなど薬剤調整が必要となります。

最後に

今回はパーキンソン病の治療薬について少し突っ込んだお話を紹介しました。パーキンソン病は命にかかわるというよりは少しづつ動きづらくなる身体とどう付き合って生活していくかを模索していく疾患です。(私の祖父も約20年に渡ってパーキンソン病とともに生活を続けていました・・)様々な薬がある一方、その効き方や副作用の出方は個人差も大きいのが特徴です。クリニックでも薬剤調整のお手伝いをさせていただくことが可能です。(重度の場合や進行が速い場合は総合病院神経内科ご紹介になることもあります)何かお手伝いできることがあれば気軽にご相談ください。

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