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風邪と肺炎のちがい

連日いやでも耳に入ってくる新型コロナウイルス感染のニュースですが、クリニックでも風邪症状で来院された患者さんにコロナウイルス感染の可能性について聞かれることが増えてきました。

いくつか情報を追記します。

*風邪症状で受診したが・・肺炎の可能性はあるの?

風邪症状とはいわゆる急性上気道炎による症状であり、喉の痛み、鼻水、咳、痰、発熱、倦怠感などがあたります。順番や重症度は異なってもいろいろな場所にちょっとずつ不具合を生じるのが風邪、一般的なウイルスによる急性上気道炎の特徴です。

一方、肺炎になると、文字通り炎症は肺に限局されますので、症状は肺に絡むものが目立つようになります。具体的には咳、痰、呼吸の苦しさ、実際の体内酸素レベルの低下(SpO2の低下)そして風邪に比して高い発熱です。

よって、今まさに風邪症状が目立つ場合、肺炎になっている可能性は低いかもしれません。ただし、風邪から肺炎に至る場合もありますし、特に高齢者の場合は、肺炎であっても典型的な症状が出づらい場合もあります。

クリニックでも経過や今までかかった病気をうかがい(免疫力を低下させる要因がないか、等)、総合的に判断して必要時は風邪症状であっても肺炎の検査を行うことがあります。

*肺炎は何の検査をすればわかるの?

咳や痰、発熱などから肺炎を疑った場合、まずは血液検査や胸部レントゲン検査を行うことになります。血液検査で体内の炎症を示す値が変化していたり、胸部レントゲン写真で肺炎を疑う所見があれば、さらに痰を出していただいたり、咽頭拭い液を用いて原因を調べていくことになります。

*肺炎を起こすのはウイルス?

肺炎はすべての微生物が由来で起こる可能性があります。すなわち、ウイルス性肺炎、細菌性肺炎、真菌性(カビ)肺炎、珍しいですが寄生虫による肺炎があります。さらに自己免疫性の肺炎や刺激物を吸引したことによる肺炎もあり、一口に肺炎と言ってもその原因は様々です。

*肺炎の治療は?

これは原因によって異なります。ただし、すべての肺炎に共通して言えるのは、肺が呼吸をつかさどる臓器であることから、肺炎があってもとにかく血液中の酸素を保ち、生命を脅かさないようにすることが肺炎治療の第一目標です。何が原因であっても、呼吸が保てない場合は人工呼吸器や体外循環装置が必要になることもあります。もちろん多くの肺炎はそこまで重症化せず、原因に対応することで治療を行います。すなわち、細菌や真菌(カビ)による肺炎であれば抗菌薬や抗真菌薬(いわゆる抗生物質等)を使い、原因菌の排除を目指します。ウイルス性肺炎の場合、抗ウイルス薬が開発されていないウイルスも沢山あります。実際昨今話題の新型コロナウイルスに対しても、このコロナウイルスに有効な薬はありません。その場合は出現する症状に適宜対応(対症療法)していくことが治療となります。(例:高熱に解熱剤、呼吸苦に酸素投与など)

 

最後に

引き続き新型コロナウイルス感染は拡大しています。感染経路についても飛沫核感染の疑い(接触感染や飛沫感染よりたちが悪い)が取りざたされるようになっています。日々出される新しい情報に注意が必要そうです。ただし、やはり致死率はそこまで高くないことが予想されますし、おそらく感染しても何ら症状を起こさない人も沢山いることは事実のようです。できる範囲での感染予防をしつつ、免疫力を落とさないような規則正しい食事、生活を心がけることが重要です。

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