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似て非なる専門科・・神経内科と心療内科の違いご存知ですか?

私が研修医終了後に選択した神経内科ですが、比較的認知度の低い科であることが診療に従事する中で徐々に判明しました。

特に混同されがちなのが心療内科です。名前も似ていますし、心を生むのが脳という神経・・と思えば同じような病気を扱う科、という印象になってしまうのもよくわかります。

しかし!神経内科と心療内科は全く違います。一言でいえば

「脳を診るのが神経内科、心を診るのが心療内科」です。

心療内科≒精神科というとよりわかりやすいかもしれません。※精神科の方がより重症の精神症状のある患者さんを診る、など心療内科と精神科も完全に同じではありません。

うつ病や統合失調症、躁病などのいわゆる心の病気はまさに精神科領域の疾患のため、神経内科医が抗うつ薬や抗精神病薬の細かい調整をしたりカウンセリングのような面談を行うことはありません(もちろんどちらも診られる先生はいると思いますが・・)。

一方、脳梗塞やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などは神経内科医が診る病気です。

一部アルツハイマー病やてんかんは神経内科でも心療内科(精神科)でも診療が行われることがあり、はっきりと分野が分けづらい面もありますが、アルツハイマー型認知症は神経内科で診ることが多い印象です。

*アルツハイマー型認知症の患者さんの中には中核症状の物忘れより、イライラや被害妄想などが前景にたってしまい、周囲の方とうまく生活できなくなる場合もあります。その場合、精神科の先生が不安を取り除いたり落ち着くための治療、薬の処方をすることもあります。

最近おばあちゃんの物忘れが気になるな~、なんか手が震える、転びやすくなった、呂律が回らない、などはまず、内科や神経内科にかかっていただきたい症状です。

もう一つ、わかりづらいのが神経内科と脳外科の違いでしょうか。心療内科以上に重なる部分が多い、病院によってはどちらかの専門科しか設置がない、ということもあり、必ずしもクリアには分けられません。手術を必要としうる病気や頭のケガは脳外科医師が診療しますので、脳腫瘍(脳にできる悪性のできもの)や脳出血、ケガによる急性硬膜下血種、脳挫傷などの患者さんがいれば、例え最初に神経内科を受診していても、脳外科の先生に診療をお願いします。またくも膜下出血やそれを起こしうる動脈瘤(脳の動脈のコブ)も脳外科の先生が診ます。

「こんな症状があるんだけど、何科にかかれば良いかよくわからない」というのはしばしば耳にします。その場合はまずかかりつけ医や内科に相談していただき、そこで医師が症状などから疾患を考え、適切な科に紹介をするという流れがスムーズであると思います。もちろんご自身で症状から科を判断して最初から受診先を選んでいただいてもよいと思いますが、近年大きな病院は紹介状の持参を必須としていたり、選んだ診療科が違うとかえって適切な科に受診するのが遅れてしまったり、というリスクもありそうです。緊急でない場合、ぜひワンクッション、クリニックでの相談もご利用ください。

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