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DLB ~レビー小体型認知症~

聞きなれない名前かもしれませんが、全認知症の原因の20%程度を占めるともいわれる重要な疾患です。

「レビー小体」という物質が脳に溜まる+認知症症状が出現する、という現象からレビー小体型認知症、という病名がついています。

*アルツハイマー型認知症は医師のアルツハイマー博士が報告したためその名を冠して病名となっています。

*血管性認知症は脳血管障害(出血や梗塞)を背景に認知症がおこるためその名前がついています。

このレビー小体型認知症、一般的な(つまり一番多い)アルツハイマー型認知症と比べると症状が異なり、特徴的です。

認知機能に変動がある:なんだかすっかり話がわからないな、という日もあれば比較的症状が軽い日もあります。認知症は意識障害と異なりますので、基本的に完全な回復はしませんが、それでもアルツハイマー型認知症に比べると症状に波があるのが特徴的です。

幻視;今までレビー小体型認知症の患者さんを診療する中で幻聴の訴えはあまり聞いたことがありません。ありありとした幻視を語る患者さんが多く、例えば「ほらそこに小さい子がいる」「小さい子が家族を連れて遊びに来た」というのは典型的です。他にも成人や小動物などの幻視を訴える方がいますが、あまりその幻視を怖がっている様子がないのも印象的です。(※統合失調症や覚せい剤に伴う精神病の方は幻聴、それも被害的な内容を訴えることも多いです。)

パーキンソン病のような症状;これが最も特徴的かもしれませんが、認知機能の変化だけでなく、身体症状も出現するのがレビー小体型認知症の特徴です。身体の動きを細かく制御するのが苦手になるパーキンソン病に似た症状が出現します。動き出しが苦手になり転びやすくなったり(易転倒性)、筋肉が固くなったり(固縮)日々の生活に困ることも増えてきます。

その他特徴的な症状としてはレム睡眠行動障害、という症状もしばしばみられます。これは周りの人には寝ぼけているように見えるかもしれません。レム睡眠、という睡眠の時間帯があります。この時期に人は夢を見ていますが、筋肉はしっかり脱力し、身体は動きません。しかし、この筋肉の脱力がうまくいかない場合、レム睡眠の間に動いてしまう、という症状が出現します。

また、自律神経の機能低下も目立つことがあります。血圧や排便、排尿などのコントロールをつかさどるのが自律神経です(交感神経と副交感神経)。したがって、血圧調整の障害で立ちくらみ(起立性低血圧)や排便コントロールの障害で頑固な便秘がおこったりします。

 

レビー小体型認知症の原因

脳の神経細胞にレビー小体とい構造物ができてしまいます。これはα-シヌクレインというたんぱくが固まってできたものであることが知られています。脳のどこにこの物質がたまってしまうかで症状が異なります。なぜαーシヌクレインが溜まってレビー小体ができるか、原因ははっきりわかっていません。ほとんどの患者さんが家族の中でも一人だけの発症(孤発性)であり、基本的に遺伝性は認められません。

 

*レビー小体型認知症の治療

各症状に対して治療を行うことになります。根本的な治療(=ダメージを受けた神経細胞を直したり、レビー小体をなくすなど)は困難です。

認知症の症状には抗認知症薬を使ったり、パーキンソン病のような症状にはパーキンソン病患者さんに使用する薬が良く聞く場合もあります。ひどい起立性低血圧や不眠などがあれば、それぞれの症状に対して薬を考えることになります。

上述のように完全な治療が困難なレビー小体型認知症、やはり症状は徐々に進行し、認知機能の低下や体の動きの悪さが目立ってくれば今までできていたことが行えなくなってしまいます。その場合は介護保険によるサービスの利用なども積極的に進めておくことが必要です。

*最後に

おそらく物忘れが気になりだした時点でレビー小体型認知症かな、と思う方はあまりいないでしょう。認知機能低下より精神症状(幻視、せん妄など)や身体症状(パーキンソン病のような動きづらさ)が目立つ場合、さらに診断が難しいこともあるかもしれません。また、やや稀な疾患でもあり、全内科の先生がこの疾患を念頭に診察するか、というと必ずしもそうではないかもしれません。患者さん本人よりご家族が心配して受診先を探されている、ということもしばしば見受けられます。まずはかかりつけ内科でご相談いただき、必要な場合は神経内科での診療を受けることが診断への近道です。気になる症状がある場合、是非当院でもご相談ください。

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