ソージュ山下町内科クリニック

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ALS ~筋萎縮性側索硬化症~ 最初の症状は?

筋萎縮性側索硬化症 きんいしゅくせいそくさくこうかしょう と読みます。

長くて難しい病名です。ALS(エーエルエス)と略して呼ばれることも多いです。

有名人の罹患でも名前が知られているかもしれません。ルー・ゲーリックやホーキング博士・・

少し前に話題になった“アイスバケツチャレンジ”もこの疾患の認知を広め、研究への寄付を募る運動でした。

こちらの病気、神経難病の一つです。特定の働きを担う神経細胞がはっきりとした理由は不明なもののダメージを受け脱落(つまり神経細胞が死んでしまう)、その神経細胞が担っていた機能が失われる病気が神経変性疾患です。

ALSの場合は神経の中でも運動神経(Motor Neuron モーターニューロン)がダメージを受けます。

認知機能や感情を司る神経細胞はダメージを免れますので、意識がしっかり保たれたまま徐々に体を動かす機能ばかりが失われていく、そういう病気です。

ALSの症状

身体を動かすのは筋肉ですが、その筋肉に指令を与えるのは神経です。脳の運動野、という部分にある神経細胞が運動神経であり、長ーい導線のようなものを脳から脊髄まで伸ばしています。脊髄ではもう一つの運動神経にバトンタッチをして(シナプスという構造を介します)そちらの神経が筋肉まで伸びていきます。この長い経路を司る運動神経のみ徐々にダメージを受け、失われてしまうのがALSです。

従って症状としては徐々に筋肉がじぶんで動かせなくなる、の一点ですが、それが身体のどこから起こってくるかで自覚症状は多彩となります。

頭部や首の筋肉が動かせなくなってくると・・

飲み込みが苦手になります:飲み込みは口や喉の細かい筋肉が連携して動くことで行われます。したがって、飲み込み自体が苦手になったり(=誤嚥、窒息のリスクです)、水分を飲み込むと鼻側にまわってしまう、などの症状を自覚する方がいます。

しゃべりが変化します:舌は筋肉の塊、この舌の筋力が低下すれば声の変化が生じます

首下がりが起こります;実は頭部とはとても重い構造物です。この重い頭部を支えるのが頚部の筋肉や脊椎の役割ですが、頚部の筋力低下が進むと、頭を支えることが困難になってしまいます。例えば仰向けに寝っ転がって首を曲げ、顎を前胸部につけるような動きができなければ頚部筋力の低下が示唆されます。

上半身の筋肉が動かせなくなってくると・・

*今まで当たり前にできていた腕を使った動作が困難になります。(異常に疲れやすくなります)

例えば)布団の上げ下ろし、ペットボトルの開閉、他にもボタンを留めたり携帯の操作が難しくなるかもしれません。

*今まで当たり前にできていた起き上がりなどの動作が困難になります(体幹の筋力低下によります)

*呼吸を司る筋肉の動きが悪くなると、呼吸困難などもおこることがあります

(初発症状で呼吸ができないほど呼吸筋のみダメージをうける、ということはあまりありませんが・・)

下半身の筋肉が動かせなくなってくると・・

*今まで当たり前にできていた動きが困難になってきます

例えば)しゃがんだ状態からの立ち上がりが難しい、椅子からの立ち上がりが難しい、片足立ちができなくなる、平らな場所やちょっとした段差でつまずきやすくなる、階段の上り下りが難しい 等

 

ALSは最初の症状が出現した場所で症状が重くなり→徐々に全身に症状が広がっていくことも多く、上述のように、最初の症状は筋力低下の現れる場所で全く異なります。

何か気になる症状があればまずはかかりつけの内科などで相談してみることが診断の第一歩になります。

ALSの治療

残念ながら現在の医療でALSを治療することは困難です。症状の進行を遅らせる目的で神経保護作用のある薬を点滴したり(ラジカット点滴)、内服薬(リルテック)も使用されますが、やはり徐々に症状は進行してしまいます。

ALSの予後

徐々に全身の筋力が低下しますので、病気の進行とともに、車いすが必要になったり、寝たきりになってしまいます。今までできていた身の回りの動作も介助が必要になります。

さらに、呼吸、飲み込みの機能が著しく低下する場合、呼吸困難や飲み込み時の誤嚥、窒息リスクがあります。呼吸困難は生命に直結しますので呼吸器を使用するか、ALSと診断された時点で今後の使用について考え始めることが必要です。呼吸器を装着すると生命予後は延長しますが、筋力低下の症状は進行しますので呼吸器装着を希望されない患者さんもたくさんいます。

飲み込みが困難になってくる場合は鼻から管を使って栄養を入れたり(経鼻胃管)、胃に穴をあけて栄養を投与する(胃瘻)などの処置が必要になりますが、これも患者さんによっては希望されず、経口摂取や点滴のみ、を選択する方もいます。

 

最後に

ALS、患者さんにとって診断がついても簡単には受け入れがたい疾患の一つです。医療者もすこしずつ症状が進行する患者さんを前にある種の無力感を感じてしまう疾患でもあります。それでも、進行する症状に合わせ、できれば先回りをして介護やリハビリの設定などをお手伝いするのが病院やクリニックのできることであると思います。今回は色々実例を挙げて症状も記載しました。気になる症状があれば、まずはかかりつけの内科で相談をしてみて下さい。もちろん当院でも診療可能です。

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