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SYMPTOM

貧血 ~その原因や治療~

立ちくらみ、めまい、なんとなく元気がでない、すぐ息が切れるなど病院を受診、貧血と診断されましたか?下まぶたの粘膜の色を見たり、血液検査をすれば、比較的容易に貧血そのものの診断は可能です。鉄剤の処方を受け、1-2か月後に再診、となったかもしれません。またはもっといろいろと検査に進むこともあるかもしれません。

貧血は血液検査である程度の分類、原因の推定が可能です。原因と受診時に準備しておく項目について見ていきましょう。

貧血の定義

貧血とは、「血が足りない」の文字通り、血液検査で酸素運搬を担当する赤血球の数が低下した状態です。ヘモグロビン(Hb:医療関係者はハーベーと呼ぶことがあります。ドイツ語読みですね。)の値で示されることが多く、一般に成人男性でHbが13g/dL未満,成人女性で12g/dL未満,高齢者や妊婦さんでは11g/dL未満を貧血と診断します(WHOより)。

 

貧血の症状

貧血そのものの症状としては、血液の中で酸素運搬を担当するヘモグロビンが少ないことから、末梢の組織の低酸素を来し、疲れやすい、めまい、立ちくらみ、何となく元気が出ない、活気がない、顔色が悪い、などの症状を来します。

また、貧血になると、心臓が1回の収縮で身体に供給できる酸素量が減るため、心拍数を上げて対処し、いつの間に心臓が疲れてしまう=心不全を来すこともあります。その場合は息苦しさやむくみ、動作時の息切れなどが出現してきます。

最後に、貧血の原因となっている病気の症状も出現することがあります。ビタミン不足では手足の感覚障害や舌の発赤、白血病では出血しやすさや感染しやすさ、微熱等が考えられます。

もちろん全く無症状の方もいます。貧血がどのくらいの期間で進行したか、貧血の程度などでも症状は変化します。

 

貧血の頻度

最もよくあるのは鉄欠乏性貧血です。全女性の8%程度が鉄欠乏性貧血、とも言われる、ありふれた病気なのです。

貧血の原因

血液中のヘモグロビンが減ってしまうことからその原因を以下のパターンで考えることができます。

①赤血球がうまく作れない(造血の問題)

②せっかく作った赤血球が壊れる(溶血)

③出血

 

①赤血球がうまく作れない

赤血球づくりに必要な物質の不足や造血を促すホルモンの不足などがあります。

最も頻度の高い鉄欠乏性貧血はここに入ります。

他にもビタミン不足(葉酸やビタミンB12不足)、造血幹細胞の異常で赤血球の供給不足から貧血が起こることがあります。

 

②赤血球が壊れる

本来赤血球は120日程度で順次新しい赤血球に入れ替えが行われ、古くなった赤血球は血管の外で適切な処理が行われます。しかし、免疫の異常等により血管内で赤血球が破壊されてしまい、貧血を起こすことがあります。稀な疾患ですが、貧血以外にも身体や白目が黄色くなる黄疸やヘモグロビン尿(見た目は血尿です)などが出現しえます。本来自分は攻撃しない免疫(抗体)が誤って自分の赤血球を攻撃してしまう自己免疫性溶血性貧血は国の指定難病にもなっています。血液内科など適切な専門科での治療が必要となります。

 

③出血

じわじわと出血している場合、ゆっくりと貧血が進行することもありますし、急な大出血ではヘモグロビンの低下が軽度でも血圧の低下など、ショックの状態から命に関わる自体になることがあります。出血源の確認と止血が必要になります。内科でたまたま行った検査いによって貧血を見つけた場合は、消化管からの出血を調べるため便潜血検査をすることが多いです。

 

貧血の治療

原因によって異なります。

最もわかりやすい治療は輸血=不足した赤血球を外から足す、ということになりますが、普通の外来を受診できる程度の体調の場合、すぐに輸血が必要、ということはほぼありません。急激な出血などで血圧が保てない場合などは輸血が必要になる場合もあります。

→輸血のこと

 

鉄やビタミンなど造血に必要な物質の不足が疑われる場合は、検査と並行して鉄剤やビタミン剤の投与を開始してしまうことが多いです。鉄剤は気持ち悪くなってしまい飲み続けることが難しい患者さんも多い印象です。その場合は点滴や食事での補充を目標にすることもあります。

心不全症状があれば、そちらへの対応、血液疾患(白血病や再生不良性貧血など)を疑えば専門科への紹介となります。

 

受診時のチェックリスト

鏡の前で下まぶたの内側の粘膜の色(眼瞼結膜の色)を確認してみましょう。ピンク~赤が正常(結膜炎などあればその限りではありませんが・・)蒼白(マカロニみたいな色、と思っていますが・・わかりづらいですかね・・)なら貧血の可能性があります。息切れや立ちくらみなどの症状に上記の眼球結膜の蒼白がある場合は、貧血を疑い内科の受診を検討してよいでしょう。

その場合以下の項目を確認していただくと受診がスムーズになります。

 

□いつからどのような症状がありますか?

めまい、立ちくらみ、疲れやすさ、息切れ、なんとなく元気が出ない など

□食事は摂れていますか? どのような食事ですか?

飲酒量が多く、食事が少なめ等

□他に気になる症状はありますか?

腹痛、舌の痛み、体重減少、手足の痺れ感など

□どこかから出血していませんか? 鼻、歯茎、消化管(血便や黒色便)等々

□アルコールは飲みますか? どの位の量を週・月何回くらい

□女性:月経はコンスタントにありますか?

経血量は多い方ですか?:血の塊が出る場合は出血量は多い可能性があります

 

最後に

非常によく見る貧血ですが、特に症状の自覚がある場合は一度は内科を受診してしっかりと原因を調べておく必要があります。外来ではびっくりするほどヘモグロビンが低い状態で受診される方もいらっしゃり、よく今まで我慢していたなぁと思うこともあります。生活や仕事のパフォーマンス低下にもなり得ますし、稀ながら重大な疾患の症状の一つであることもあります。貧血そのものは検査ですぐわかります。是非受診を検討してください。

もちろん当院でも初期診療可能です。

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