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血管性認知症 ~脳卒中にともなう認知症~

認知症について、すでにアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症について記載しました。

アルツハイマー型認知症の記事はこちら

レビー小体型認知症の記事はこちら

今回は認知症の20%を占めると言われる血管性認知症についてです。

血管性認知症とは?

“認知症”という病名が付くことからもわかりますが、血管性認知症も徐々に記憶や物事を順序だてて行う遂行機能が低下する認知症の一つです。脳の特定の神経細胞が徐々に、原因はわからないもののダメージを受けてゆくアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症と比べ、血管性認知症の原因は非常にわかりやすいです。病名が示す通り、“血管”の病気、つまり脳梗塞や脳出血により認知機能や遂行機能をつかさどる神経細胞がダメージを受け、認知症を起こします。

よって人によって1回の脳梗塞や脳出血で大きなダメージが及ぶこともある一方、小さな脳梗塞、微小出血を繰り返すことで徐々に、階段状に症状が悪化する場合もあります。

血管性認知症の症状

症状はその脳梗塞/脳出血でダメージをうけた範囲、重症度によるため、認知症症状に加え、手足の麻痺や感覚障害、言語障害(構音障害(しゃべれない、しゃべりづらい)や失語症)、飲み込みの障害など様々なパターンで起こることがあります。

血管性認知症の診断

診断には病歴や認知機能のテストに加え、MRI等画像による脳そのものの評価も重要になります。麻痺などの症状が全く現れない無症状の脳梗塞(いわゆる隠れ脳梗塞です)もその数が増えることで徐々に認知機能低下を起こします。したがって、MRI等で脳の評価をすることは認知症の診断にとても重要です。

血管性認知症の治療

脳梗塞/脳出血が根本原因となりますので、それらをできるだけ予防する、というのが血管性認知症に対してできる対応策です。具体的には糖尿病や高血圧、脂質異常症(高コレステロール血症等)などの生活習慣病を適切に治療する、喫煙をしない、必要な場合は血液サラサラの薬を内服する、など脳梗塞/脳出血予防と同じ対応が必要となります。

一度ダメージを受けた神経細胞を再生させることは困難であり、すでに起こった脳梗塞/脳出血を治療することはできません。よって、これ以上の脳卒中を防ぐ、というのが重要になります。

脳梗塞の記事はこちら

 最後に

今回は血管性認知症についてご紹介をしました。脳梗塞や脳出血というと1回の発症で麻痺や寝たきりになる、というイメージをお持ちの方もいるかもしれません。もちろんそういう場合も少なからずありますし、時には1回の発症で命を落とすこともあります。一方で、ほとんど麻痺などの外に見える症状を起こさず、少しずつダメージが蓄積していく血管性認知症のような病気もあります。(ほかにも血管性パーキンソニズム(やはり脳梗塞や脳出血のダメージが蓄積し、パーキンソン病のような症状がおこること)という病気もあります。)生活習慣病が血管にダメージを与え、脳梗塞や脳出血がおこります。それらを適切に治療してそもそも脳梗塞や脳出血を起こさないことが血管性認知症の一番の対策です。心配なことがある場合は是非気軽にかかりつけの先生に相談してみましょう。もちろん当院でも診療可能です。

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