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SYMPTOM

熱が出た ~発熱~

朝起きたら何となく熱っぽい・・測ってみると・・37.8度・・やっぱり熱がある。困った、仕事には行かれそうだけど、こんな時期に風邪か?

よくあるエピソードです。発熱、を体験したことがない人はいないでしょう。でも、何故熱って出るの?原因は?正しい対処法は?いつ受診するの?など意外に知らないことも多いかもしれません。ここでは発熱をトピックスに情報をお伝えします。

 

(発熱・・・熱が出ているとはどういう状態を言う?)

そもそも何度からが発熱でしょうか・・・基礎体温は個人差がありますし、年齢でも変化しますが、99%の健康成人の体温は腋窩(脇の下)温度で35.7度~37.4度の範囲内にあります。よって、一般的には(日本の感染症法では)37.5度以上を発熱、38度以上を高熱、と定められています。

*発熱、の定義に当てはまらなくても、発熱、として扱うべき場合もあります。

複雑ですが・・最後に記載した“受診が必要な方”に当てはまる場合は体温37.0度でも念のため受診を検討してもよいでしょう

 

発熱のメカニズム

→興味がない方は飛ばしてください。専門的かもしれませんが・・面白いと思っているので載せることにしました。

私たちの体温は視床下部にある体温調節中枢、で設定され、身体がその温度になると、適切、と判断しています。炎症などがあると、この設定値が勝手に高くなります(セットポイント、と言います)すると、体温は36.5度など平熱であっても、セットポイントより低いため、身体は“寒い!”と判断(寒気、悪寒)がたがた、がちがち震えて筋肉で熱産生、体温を上げようとします(戦慄)。そして、セットポイントになるととりあえず寒気や震えは収まります。その後炎症が改善すると、先に脳が体温のセットポイントを下げます。すると、今度は脳の設定温度より体温が高くなるため、身体は“暑い!”と判断、暑がって、汗をかいて、平熱に戻ります。昔風邪などを引いても、汗が出ればもう大丈夫!と言われていましたが、その通りなのですね。

 

熱が出る原因

さて、本題に戻ります。発熱、ほとんどの場合は具合悪いけど・・仕事へ行って、数日間だるさが残ったけど、いつの間にか解熱していた~ または、ロキソニンで下げちゃいます、という方もいるかもしれません。正直、普段元気な方、仕事に行かれるぐらいの発熱はほとんどの場合、重症化せずにすむことも多いです。病院に行ってもむしろほかの感染症をもらってくるだけかもしれませんのでとりあえず様子を見てみる、これは間違いではないです。

*インフルエンザかも、という場合は検査して、もし陽性なら仕事はお休みしましょう。インフルエンザの場合感染をうつした相手が高齢者や乳幼児なら(健康成人でさえも)死ぬことがあります。誰かのため、に勇気をもって仕事は休んでしっかり治してからまた働いてくださいね。

そういう大したことなさそうな発熱、でない場合には医師は以下のようなカテゴリーで病気を分類して、何に当てはまるかを考えつつ検査等を進めていきます。

 

  • 感染症

いわずと知れた発熱の原因ですね。基本的に感染から逃げられる人体組織はありません。ばい菌(ウイルス、細菌、真菌(かび)、寄生虫)がどこかに感染し、増えて、人体を攻撃すると、それに対抗して身体の中で炎症、が起こります。するとばい菌自体や白血球などから出される物質が発熱物質として体温を上昇させます。感染の起こっている部位、で症状が全く違いますので、まずは症状に目を向けましょう。

*咳、痰がたくさん出る;肺炎の可能性があります

*排尿時に痛い:尿路感染症の可能性があります

*皮膚が赤く腫れており、触ると熱いし、押すと痛い:蜂窩織炎(皮下組織の炎症)

*右下腹部が痛い;虫垂炎かも・・

などなど、感染臓器ごとに症状が違いますので、しっかり自分の症状を把握しましょう。

 

  • 悪性腫瘍

癌、肉腫(上皮以外から出た悪性腫瘍)、白血病やリンパ腫(血液成分の悪性腫瘍)も発熱を来すことがあります。腫瘍細胞はもともとは自分の組織から出現しますが、すっかりその顔を変えており、正常の人体にとっては異物と変わりません。よって体内に常に敵がいる=炎症を起こしてしまう、ことから発熱を来します。

 

  • 自己免疫疾患

本来外敵を攻撃するための免疫機構が間違って自分を攻撃してしまうタイプの疾患です。間違ってどこを攻撃するか、でいろいろな病気に分類されます。関節がダメージを受ければ関節リウマチ、血管が攻撃を受ければ血管炎、筋肉が攻撃を受ければ筋炎です。発熱を主な症状として病院で検査をすると、一部この自己免疫疾患と診断される方がいます。

 

受診を検討すべき発熱

ということで、いつもと違う発熱を自覚したら早めの受診は要検討です。

*たとえば、インフルエンザ?と思っている場合(家族や友人、職場に患者がいるなど)は発熱直後に来院していただいて、検査をしても基本的に陰性です。発熱後12時間くらいはたとえインフルエンザ、でも検査は陽性になりません。よる熱が出たなら→チェックリストに当てはまらないことを確認して、落ち着いて一晩過ごし、よく朝以降受診したほうが良いです。ただし、最近は検査機器の発展もあり、発熱から間もないインフルエンザでも診断可能な場合があります。当院にも検査機器導入しています。ご相談ください!

以下に当てはまる人はすぐに内科、時には総合病院を受診しましょう

□意識障害を伴う

□痙攣した

□血圧が低い

値だけでは判断が難しいですが、上の血圧(収縮期血圧)90mmHg以下が一つの目安です。これ以下の場合ショックと言われる状態の可能性があります。

□明らかに息苦しい、呼吸が早くなっている

□どこかに強い痛みがある

□悪寒戦慄がある

□免疫抑制剤や抗がん剤の内服がある

□何か慢性疾患で通院治療をしている

 

上記には当てはまらないけれど、やっぱり受診をという場合は、以下のチェックリストをまとめておくと、受診がスムーズになります。

□いつから具合が悪いか

□熱の変動は? 朝晩で変動がありますか?

□今までかかった病気はありますか?(既往歴)

□今飲んでいる薬はありますか?(内服)

□最近病気の人に会いましたか?

□最近海外に渡航しましたか?

□変わったものを食べたましたか(生の魚介類やジビエなど)?

□動物と触れ合ったり野山に入る機会はありましたか?

□その他の症状はありますか?

 

最後に

たかが発熱、されど発熱。見逃せない疾患の最初の症状、ということもあるので、自分の身体としっかり向き合ってみましょう。これはおかしい、と感じるなら、まずは日中の一般内科外来を受診してみましょう。時に重大な疾患の場合もありますので、そういう時(チェックリストに挙げた症状が伴う時など)は夜間でも休日でも早い対応が必要です。

特に感染症はタイミングを逃すと当然致命的な経過をたどることがあります。顕微鏡で見ていると細菌はすごい勢いで×2、×2と増えていきます。30分で1回分裂するなら、6時間後には細菌は単純計算1024倍に増えるわけです。できる限り早い対応が必要なのが分かっていただければと思います。

お困りの場合は是非近くの内科にご相談ください。もちろん当院もWelcomeです。

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