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喀血 咳をしたら血が出た?
血を吐いた、口から出たものが明らかに血液であったり、息が苦しい、ぜーぜーするなど呼吸に異常があったりする場合は、早急に大きな医療機関の受診をしましょう。診療所や往診の医師では対応しきれない可能性があります。
咳をしたら血が混じっていた、これは悩ましいところです。受診すべきか、ちょっと様子をみるか、医師でも判断しかねる部分もありますが、まずは喀血とは何か、原因にはどんなものがあるのか、そして受診する場合のチェックリスト、を見ていきましょう。
喀血とは
喀血は、気道からの出血です。気道とは空気の通り道ですから、気管支や肺から、ということになります。似て非なるものが吐血です。血を吐く、文字通り、食道や胃といった消化管からの出血が口から出る場合を吐血、といいます。血液が口から出てくるので時に紛らわしいのですが、気道からの出血は特に窒息の原因となりうるため危険性が高いです。
原因
まずはどこからの出血であるか、を考える必要があります。気管?気管支?肺胞?(空気交換を担う場所)
つづいて、そこにどんな病気が隠れているか、を考えます。
①悪性腫瘍 肺癌です。
やはり癌が日本人の死因のトップであることから、喀血も血痰もあなどってはいけません。特に扁平上皮癌や小細胞がん、といわれる肺の入り口あたりにできやすい癌では、出血が初発症状のこともあります。胸のレントゲンやCT検査の検討が必要です。
②感染症 特に結核
以前は日本でもたくさんの方が結核に罹患、死亡していました。結核は肺の正常構造を壊して結核菌が結節(塊)を作るのですが、組織が破壊されるわけですから、出血を来すことがあります。昔の映画などで咳をして→白いハンカチに血液が付着!??というシーンはしばしば結核、不治の病を示唆するものとして登場しますね。
③炎症性疾患
あまり耳慣れないと思いますが、血管炎(読んで字のごとく、血管の炎症です。自分の免疫が間違って自分を攻撃してしまう、という病気です)などでも喀血や血痰を来すことがあります。
④凝固異常
血液が固まりづらい病気があったり、心筋梗塞、脳梗塞予防のために血液サラサラのお薬を飲んでいる場合、当然出血はしやすくなります。
⑤その他
今回この記事を書くにあたって喀血の原因を調べていて、初めて聞いた疾患もありました。正直よくわかりません。割愛します!!
受診する場合
特に何ら症状がないにも関わらず咳をしただけで血が出てきたなら、1回は医師の診察を受けてましょう。鼻血のあと、抜歯のあと、などに数回だけティッシュに血が付着した、すぐにでなくなった、程度であれば経過観察でもいいでしょう。
最初に書きましたが、大量喀血、つまり息ができないほどの血液が出ているなら迷わず救急車を呼んでください。患者さんは横向きに寝かせて、血がどんどん気道に入って窒息してしまわないようにしましょう。その時もできれば今飲んでいる薬や今までかかったお病気については救急隊員や医師に伝えられると良いでしょう。
そこまでではないが、やはりしばらく喀血や血痰が続く、そういう時は日中に病院を受診してください。その場合以下の項目を確認しておくと受診がスムーズです。
*いつから出血がありますか?
*どのくらいの血液が(痰の中に線状に混じるだけなのか、真っ赤なちの塊が出てくるのか、痰が全体にピンクなのか、むしろ塩辛のような色なのか・・等)出ますか?
*そのほかの症状はありますか? 発熱、咳、体重減少、胸部の痛み、胃の痛み 等
*何かお薬は飲んでいますか?(内服歴)
*今まで何かお病気をされたことがありますか?(既往歴)
*喫煙者ですか?
最後に
咳とともに血が出てくる、とても不安になる症状です。耳鼻科や内科、呼吸器内科での相談が必要です。
病歴を詳しく確認するとともに胸部X線検査やCT検査、血液検査などが必要になります。気になる症状があればまず近くのクリニックで相談してみてください。
もちろん当院でも診療可能です。 *止血処置はできません。重症の場合は近くの総合病院に紹介・搬送となる可能性があります。