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パーキンソン病 ~詳しい解説~
パーキンソン病、聞いたことはありますか?
ここではパーキンソン病について細かく見ていきます。
まず簡単な解説を読みたい方はこちらにどうぞ →パーキンソン病簡単な解説
☆パーキンソン病とは?
一般に「神経難病」とまとめて呼ばれるいくつかの病気がありますが、専門的には神経変性疾患のことを指します。読んで字のごとく、ですが、神経細胞が何らかの原因で変性=変質してしまい、その機能が失われていく疾患です。記憶を司る神経細胞がダメージを受けるとアルツハイマー型認知症になったり、身体を動かす運動神経がダメージを受けるとALS=筋萎縮性側索硬化症になってしまったりします。
パーキンソン病も同じように神経変性疾患の一つであり、脳の奥深くにある黒質と呼ばれる部位のドパミンを産生する神経細胞がダメージを受け、変性していきます。
このドパミン、身体を物理的に動かすというよりは適切に調整して動かす時に働く神経細胞が産生する物質です。したがって、パーキンソン病の患者さんは脳梗塞のような“麻痺(=動かない)”は起こさないものの、身体の動きを細かく制御することがだんだん苦手になります。
☆症状
身体のすべての動きは基本的に神経を介して筋肉が適切に動くことで達成されます。したがって、この指令が脳のレベルでうまくいかなくなると、症状は全身に現れることになります。
特徴的な症状として
□すくみ足、姿勢反射障害:歩行しづらくなります。足を出そうと思ってもすぐに足が出ません。姿勢を持ち直す(姿勢反射)ことも苦手になるため、転びやすくなります。転びそうになるともはやうまく受け身をとったりできないため“板のように”ばったり倒れてしまい、怪我をする方もたくさんいます。
□ふるえ・振戦(しんせん):手を特に動かさずに安静にしている時、特徴的な震えが起こります(安静時振戦)。親指と人差し指をすり合わせるように見えることもあり、ピルローリング(薬を丸めている)振戦と呼ばれることもあります。パーキンソン病に特徴的なため、診断の時にも注目する症状です。
□無表情:専門的には“仮面用顔貌”と言ったりします。表情を司る筋肉の動きが全体に悪くなるため、一見無表情に見えてしまいます。決して感情がなくなるわけではありませんので、周囲とのコミュニケーションに影響のある症状かもしれません。
□嚥下障害や構音障害:喉や舌の筋肉の動きが悪くなると喋りづらさや飲み込みづらさが出現してきます。喋り方は抑揚がなくなったり、声が小さく、聞き取りづらくなったりします。
☆治療 →治療薬詳細はこちら
パーキンソン病が他の神経難病=神経変性疾患とすこし異なるのが、効果的なお薬がある、という点です。治療戦略としては、非常にわかりやすく、①足りないドパミンを補う②本来ドパミンが作用する部位を薬で刺激する、この2つがパーキンソン病治療薬の2本柱です。
①足りないドパミンを補う
ドパミン自体を飲んでも脳まで到達しませんので、身体の中でドパミンになる物質を薬として補充することになります。
②本来ドパミンが作用する部位を薬で刺激する
ドパミンアゴニストと呼ばれる種類のお薬です。複数種類がありますので、患者さんごとにあった薬を調整する必要があります。
その他、体内でドパミンを分解してしまう酵素を抑えるお薬などたくさんの飲み薬や貼り薬が出されているのが現状です。
さいごに
以前担当した患者さんは自宅で動けなくなってしまったところを私のいた病院に搬送されてきました。明らかにパーキンソン病の症状でしたが、まだ何ら治療がされておらず、徐々に症状が進行、とうとう動けなくなってしまったところを自宅で見つかったのです。入院後パーキンソン病と診断、徐々にお薬を開始、増量しました。するとどんどん動けるようになっていきます。最初はベッドの上で身動きがとれませんでしたが、まず寝返りがうてるようになります。その後手の力を使ってベッドの端に座れるようになりました。最後はゆっくりですが自力で歩けるところまで回復、退院後も歩いて病院に通って頂けるようになりました。
当院で診断から治療まで行うのは、MRI検査なども必要なため(MRIでパーキンソン病と診断できるわけではないのですが、他のお病気の除外に必要です)難しいのですが、一方内服の調整などは1-2か月に1回大きな病院を受診するより、クリニックで1-2週間ごとに細かく行った方が効果的な事もあります。症状に合わせ、一緒にお薬の飲み方なども相談していかれればと思います。まずはご相談ください。