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難聴は認知症の重要なリスク因子です!

今まで誰も体験したことのないの高齢化社会を迎えた日本、当然加齢で増える疾患の患者さんはどんどん増えています。その一つが認知症です。

認知症のリスク因子としては、例えば糖尿病や高血圧症、うつ病、喫煙、肥満など様々な要因が示されています、実は2017年に出された海外の論文では「中年期に難聴があると高齢期に認知症のリスクがおよそ2倍上昇!!する」というデータが発表されています。また、補聴器を適切に用い聴力補い、難聴を放置しないことで、認知症の発症リスクが軽減するという海外からの報告もあります。

ヒアリングフレイル、という概念があります。(詳細はこちら→)年齢と共に私たちの聴覚は特に高音域から徐々に低下することは避けられません。しかし、それを放置するとより重大な疾患(認知症)のリスクも増やしてしまうことは是非覚えておいていただきたいと思います。

適切なタイミングで耳鼻科受診、必要に応じた補聴器の使用が重要です。

 

ところで・・なぜ難聴は認知症のリスクを高めてしまうのでしょうか?これには大きく2つの仮説があるようです。

①カスケード仮説

名前はかっこいいですが非常に想像しやすい仮説です。

・難聴→コミュニケ―ションの障害→社会参加の減少→他者との関係で脳の高次機能を使う機会の減少→脳の萎縮

・難聴→脳に入ってくる聴覚刺激が減少→神経回路の活動現象→脳の萎縮

これら2つの経路を経て脳の萎縮が進行し、結果として認知症に至る、という仮説です。

②認知負荷仮説(実はこちらの方が有力視されているようです)

難聴→同じコミュニケーションを行う上でも聴覚の処理により沢山の労力がかかる→高次の知的作業を行う脳の部位は活動が低下する→脳が萎縮する

聞こえないことで脳が楽になるわけではなく、むしろ同じコミュニケーション一つとってもより多くの負荷が「音の情報処理」だけに使われてしまい、他の部分に萎縮が生じ、認知症に至る、という仮説です。

①、②共に説得力がありますが、全く逆のことを仮説として挙げているのが非常に興味深いと思います。

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